第7話 コボルト狩り
草木は風に揺れ、その風は土の香りを運んできます。
私は今、ワカナちゃんと大剣の男性プレイヤーの方の二人と共にコボルトロードと対峙しているのです。
コボルトロードに私の氷魔法はほとんど効果がありません。なので、一人で戦いを挑むのは愚策です。
でも、一人じゃないのなら、そこそこは戦える自信はあります。
「おい、ワカナ。どうやって倒す?」
「……それくらい自分で考えて」
「そうは言っても、俺こういう頭使う感じのことは苦手なんだが……」
「……それじゃあ、コボルトロードの相手をお願い。私はハルお姉ちゃんとコボルトの群れの方を相手するから」
「よし、分かった!任せておいてくれ!」
どうやら、作戦は決まったようです。
大剣の方は真っ直ぐにコボルトロードの方へと走って行きます。
ただ、速度だけなら私の方が早いくらいなのですけど……
そんな時、服の袖をクイクイと引っ張られました。
「……ハルお姉ちゃん、私たちはコボルトの群れを討伐」
「了解です!」
ワカナちゃんはそう言って素早く弓をコボルトたちの方へと向けました。
『サンダーアロー!』
ワカナちゃんが出現させた雷の矢は確かレベル2で使えるとネットの掲示板に書いてありました。
あんなに可愛い見た目なのにかなりの数を戦ってきたみたいです。
でも、私は次の瞬間に起こったことに驚きを隠しきれませんでした。
何と、雷の矢が無数に分裂したのです!
矢、一本一本の大きさは小さくなってますが、これは広範囲に攻撃が出来るのですよ。
……確かレベル3で使えるようになるはずです。
ということは魔法のレベルは私よりも上……。
でも、私も負けていられません!
私もサーベルを構えて近くにいたコボルトから順番に倒していきます!
右方向へ薙ぎ払い、次は背後へ薙ぎ払い……次へ次へと攻撃をつなげていく。
これは私も練習して最近ようやく一人前くらいにできるようになったのです!
「ガルラァ!」
背後から聞こえてくるのはコボルトの声。視界の端に飛び掛かって来る姿が見えました。
『サンダーショット!』
横から雷の援護が入りました。
「ワカナちゃん!ありがとうございます!」
……と振り向きざまにコボルト3体を一閃。
こんな感じで私とワカナちゃんでコボルトの群れを確実に減らしていきました。
ワカナちゃんの狙撃は正確で、一発も外しませんでした。
ホントにこれには驚きました。
あれほど動き回っている敵にあんなに正確に矢を命中させることは早々できることじゃないのです!
「ちっ!」
大剣の方はコボルトロードの攻撃にはじき返されてしまっていました。
……私たちが順調な一方でコボルトロードの討伐の方は難航しているようです。
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