第93話 光炎
「……アヤの杖に魔力が集まっている?」
「ワカナ、だとすれば
カズさんとワカナちゃんは何かを話しておられました。
「アヤさん!私は……」
「ハル、今さらアンタの話なんか聞くつもりないから!そこでお仲間とよろしくやっていたらいいのよ!」
私はアヤさんと話し合って、仲直りができるかもしれない。そう思ったのですが、無理そうでした。
ですが、ここはSdnGの中、ゲームとはいえ今は戦場です。戦う以外に選択肢はありません。
正直、アヤさんと話すにはアヤさんを倒せるだけの力が私に必要なのです。でなくては、話も聞いてもらえません。
そんな時、ポンッと左肩に手が置かれました。誰かと思えば、ユーカさんでした。
「ハル、アヤと仲直りがしたいと言っていたな。今は無理だ。アヤは私たちの始末に時間がかかっていることもあってか、イライラしている。アヤにかぎらず、相手がイライラしている時に話し合うなど不可能だ」
……ぐうの音も出ませんでした。ユーカさんのおっしゃる通りです。
でしたら、私たちが今すべきことはこの場から全員無事に離脱すること。
「みなさん、森に逃げ込みましょう!」
まず、マップには敵の姿は映りません。でしたら、アヤさんたちの視界から外れるしか逃げる手段はありません。
つまり、木が生い茂っていて見通しの悪い森の中が最適ではないかと思うのです。
私はこのことを急いでカズさんたちに話しました。すると、
「ああ、俺もそれしかないと思う。だが、森は俺たちの背だ。つまり、アヤが技を撃とうとしている方角へ逃げるしかない」
「では、逃げ場が……!」
「そんなもの、技が発射されたら避けるだけだ!……と言いたいところだが、それは無茶だな」
私たちは悩みました。ですが、ルビアちゃんがとにもかくにも森まで走ろうとおっしゃったので、全員で森へ逃げ込むことに。
「“光炎砲”!」
一番敏捷のステータスが高い私と次に敏捷のステータスが高いユーカさんが森の中へ入った時。背後を振り返ると、アヤさんから光魔法と炎魔法が杖の先から同時に発射されました。
ワカナちゃんは発射の次の瞬間には森へと逃げ込めましたが、ルビアちゃん、カズさん、テツさんの3人がまだ森に入れていませんでした。このままでは、3人に魔法が直撃してしまいます……!
「“アイスウォール”ッ!」
私は最後尾のテツさんの後ろに氷の壁を生み出しました。
「ユーカさん、ワカナちゃん!カズさんたちを連れて、森まで戻ることはできますか!?」
「ああ、分かった!行くぞ、ワカナ!」
「……はいっ!」
私が氷の壁を維持するため、その場を動けないことを察してユーカさんたちはすぐに動いてくださいました!どうか、間に合ってくださいなのです……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます