第29話 一人じゃ決められない

「ハルも私たちのクランに入るつもりはないか?」


 私は耳を疑いました。ユーカさんが今、何を口にしたのかを。


「えっと、それは……」


「もちろん、今ハルが一緒にパーティを組んでる二人も一緒で構わない」


 ユーカさんは少し遠慮しているのか、条件としてはゆるそうな感じでした。


 でも、実質的にはアヤさんのパーティに私たちが組み込まれる。


 そんなことになれば、アヤさんからまた何か言われるかもしれない。


 私の頭の中で、色んな考えが巡りました。でも、今の私にできる返事は一つだけ。


「パーティのお二人にも相談してみます。私だけで決めていい話ではありませんので」


 私がそう言うとユーカさんは分かっていたのか、無理に笑顔を作っておられました。


「やっぱり、アヤとの仲が戻らないとキツイ……か」


「ええ、そう……ですね。でも、仲直りしたい気持ちはあるので、良い機会なのかもしれません」


「誘っておいてなんだけど、全然断ってくれていいんだぞ?変に私に気を遣うようなことはしないでくれ」


「はい……」


 しばらく、気まずい沈黙が続きました。


「そうだ、アップデートの話は聞いたか?」


「……アップデート?」


 ユーカさんから切り出されたのは、クランの話ではなく、アップデートの話でした。


 その通知はどうやらつい先ほど届いたばかりの通知らしく、私も通知を開いて確認してみることにしました。


「えっと……」


 アップデートの内容としてはゲーム内での職業の幅が広がって、条件を満たせば転職も可能になるということでした。


 現在ある職業が7つ。


 ・戦士ウォーリア


 ・武闘家モンク


 ・槍使いランサー


 ・弓使いアーチャー


 ・盗賊シーフ


 ・魔法使いウィザード


 ・魔法剣士マジックナイト


 私の職業が7つ目の魔法剣士。上から順に戦士はカズさん、槍使いがユーカさん、弓使いはワカナちゃん。盗賊がマサミさん、魔法使いがアヤさんといった感じです。ただ、武闘家の方には未だにお会いしたことはありません。


 それはさておき、新しく追加される職業は合計19。あまりの多さに、覚えきれるか不安です……


 ・剣闘士グラディエーター


 ・剣聖ソードマスター


 ・聖騎士パラディン


 ・盾使いシールダー


 ・暗殺者アサシン


 ・聖戦士クルセイダー


 ・呪術師シャーマン


 ・付与魔術士エンチャンター


 ・占い師フォーチュンテラー


 ・治癒士ヒーラー


 ・召喚士サモナー


 ・商人マーチャント


 ・踊り子ダンサー


 ・吟遊詩人バード


 ・学者スカラー


 ・魔道具師アイテムメーカー


 ・鍛冶師ブラックスミス


 ・魔法戦士ルーンナイト


 ・賢者セージ


 今までは戦闘職しかなかったのが、生産職とかが増えることで遊び方が広がるような感じがしました。


 こんな職業が入ると、SdnGも戦闘したい人以外にも始める人が増えそうなのです!


「どう?何か、転職してみたい職業はあった?」


「はい!私は魔法戦士ルーンナイトに転職してみたいです!見たところ、魔法剣士マジックナイトとも細かいところでは違いが出るようですし!」


 説明によると、魔法剣士マジックナイトが魔法を使いながら剣士として接近戦が出来るとのことですが、なんでも魔法戦士ルーンナイトであれば魔法と剣を併せた魔法剣なども使えるらしいのです!


 どんな戦い方が出来るのか、今からワクワクが止まらないのです!

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