第214話 コーイチさんからの頼み

「オレを明後日の第12回イベントにアンタのクランメンバーとして参加させてくれ」


 コーイチさんからのお願いに私は迷いました。確かにコーイチさんは強いです。ですが、それは昨年の9月時点でのこと。今の私たちと比べれば、そこまでの戦力にはなりえません。


「それではコーイチさん、私と決闘してください」


「決闘?そんなのする必要あんのかよ」


 語気に怒りを帯びたコーイチさんの声。で、ですが、ここで怯むわけにはいきません!


「はい。クラン『氷愛の剣』のリーダーを任されている身として、コーイチさんの実力を確かめたいです」


「チッ、分かったよ。じゃあオレが勝ったらクランに入れてくれるってことで良いな?」


「もちろんです。私より強い人が入るのを拒む理由がありませんから」


 コーイチさんは私からの返答にニヤリと笑みをこぼされたのです。おそらく、半年間のブランクがあっても私には勝てる。そう思っているのでしょう。


 ……ですが、そうは問屋が卸しませんよ!


 そう心の中で思いつつ、私とコーイチさんとワカナちゃんは決闘を行なう場所へと移りました。決闘の場は町の外、前にカズさんとコーイチさんが決闘をした草原を選びました。


「それではワカナちゃん、審判をお願いします」


「……うん、分かった」


 私とコーイチさんは100メートルほど距離を取り、中間の位置に審判であるワカナちゃんがついたのです。


「……それでは、始め!」


 ワカナちゃんが頭上に上げた腕を振り下ろすと同時に決闘が開始。開始直後にコーイチさんが一気に私との間合いを詰め、手に装着したライトブルーの爪を真っ直ぐに繰り出してこられました。


「何ッ!?」


 ですが、敏捷のステータスではるかに下回るコーイチさんの動きに即応するのは、私にとっては易いことでした。ですので、コーイチさんの初撃を左へ跳んでかわし、そのままコーイチさんの背後へ。


「ハッ!」


 ここで回治の剣を抜き、そのまま右上方向へと斬り払ったのです!ただ、コーイチさんもこれだけで黙ってやられるようなことはなく、ギリギリのところで防御なさったのです!これにはビックリしてしまいました。


 この一撃でコーイチさんを仕留めるつもりだっただけに、コーイチさんの体力ゲージが残り1割をきったところで減少が止まってしまったのは残念でした。


「おいおい、ウソだろ……!あんなボケッとしてるヤツの攻撃にこんな威力があるなんてよ……!」


 コーイチさんは動揺しておられるためか、少々失礼なことを口走られました。でも、今は決闘中ですから余計なことは考えず、気にしないことにするのですよ!

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