第113話 武器を買いに③
カズさんと私の装備を選ぶのが終わり、お次はワカナちゃんの番になりました。
「ワカナ様の装備はこちらになります」
少年店主さんがワカナちゃん用としてカウンターに並べたのは、ライムイエローの色をした飾り気のない木製の弓と黒の生地のところどころに赤の生地でアクセントの付けられたコート。そして、紅色のバンダナと黒色の手袋、焦げ茶色のブーツでした。
「……この弓、軽くて使いやすそう」
「こちらの弓はキロンの弓といって、弓で射たプレイヤーやモンスターを1パーセントの確率で混乱させます」
「……それは便利」
少年店主さんの説明を聞いたワカナちゃんはにこやかな表情をしておられて、嬉しそうなのが伝わってくるのです。
「そして、コートとバンダナ、手袋、ブーツの4つはトレジャーハンターシリーズといって、軽い装備を求めている方にはオススメしている装備になります。特殊効果はありませんが、動きやすさ重視の装備ばかりです」
「……店主、私のプレイスタイルをよく分かってる」
少年店主さんはプレイスタイルを見抜いてしまうのが上手いのか、ワカナちゃんの心を鷲掴みです!とはいえ、カズさんがあまりよく思ってはおられないようでしたが。
「ワカナ様。今装備されているのはエンシェントスパイダーの衣ですよね?」
「……そう。もしかして、これを売って欲しいとか?」
「はい。ちょうどエンシェントスパイダーの衣を探しておりましたので……」
確かにエンシェントスパイダーの衣はなかなかドロップしづらいアイテムだと聞きます。それならば店主さんが欲しくなってしまうのも分かるような気がします。
「では、エンシェントスパイダーの衣を売っていただけるなら、お買い上げの装備一色の代金はタダというのはどうでしょうか?」
「……タダはさすがに割に合わない」
「いえいえ、ボクにとってはそれくらい欲しいアイテムなんです。どうか、この通り!」
なんと、少年店主さんはカウンターの前に出てきて、土下座をなさったのです……!ですが、その土下座を見たワカナちゃんは売ることを決めたらしく、無事に取引成立という形になりました。
「それで、このエンシェントスパイダーの衣を何かに使ったりするの?」
「はい、私の姉が欲しがっているので、これをバンダナに加工して誕生日にプレゼントしようと思っています。本当は自分で獲得したかったのですが、店番をしないといけないので」
少年店主さんは姉想いの良い人でした……!そこから少年店主さんの身の上話を少しして、ルビアちゃんの装備の話に移ったのでした。
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