第134話 記念すべき10人目
「マサミさん、ケースケさんはクランを抜けた後、どこのクランに入るなど言っておられましたか?」
「それもアタシと同じく、ハルのパーティが良いって」
「なるほど……って、ケースケさんも!?」
「そうだけど……そんなに驚いてどうかした?」
「いえ……!」
クランは10名から結成できるという話は以前にも聞きましたが、現在の私たちのパーティメンバーは最近入った私の両親をいれて9名。
そこへマサミさんだけでなく、ケースケさんも加わればメンバーは11人。なんと、私たちもクランが結成できます!
そして、先月の中頃に行なわれたアップデートによって、クランには名前を付けられることになったのです。
「確か、アヤさんのクラン名というのは……」
「アヤのクラン名は『光炎の女王』だよ。アヤが他のプレイヤーから二つ名的な感じでそう呼ばれてるから、それがそのままクラン名になっただけ」
――光炎。
それを聞くと、前回の第8回イベントでのアヤさんの魔法攻撃が鮮明に浮かび上がります。確かに、アヤさんの魔法を見れば、そう呼びたくなるのも分かるような気がします。
「ハル、急にクラン名とかを聞いたりして、どうかしたの?」
「えっと、マサミさんが私たちのパーティに加入したらメンバーが10人になります。ですので、私たちもクランを結成できるなと思いまして」
私がそこまで言うと、移動中のマサミさんの足がピタリと止まりました。私、もしかして何やらマズいことを言ってしまったのでしょうか……!?
「ハル、もしかしなくても――」
「ごめんなさい!」
しばらく、気まずい沈黙が横たわりましたが、次にどう言葉を繋げていいのか分からず、黙りこくってしまう私。私のそんな状況を見て、マサミさんが口を開かれました。
「えっと、アタシがちょうど10人目なのか、確認したかっただけなんだけど……」
マサミさんの言葉が耳に届いた瞬間、顎先から脳天まで一気に熱を帯びるような感覚に。どうやら、私が変に勘違いしてしまったようなのです……!
「そ、そうでしたか……!マサミさんが立ち止まられたので、もしかして何か怒らせるようなことをしてしまったのかと思い……」
「プッ!ハハハ……ッ!」
「マサミさん、そんなに笑うことでは……!」
マサミさんがお腹を抱えて笑い始めたので、私もさすがに抗議させていただきました!ですが、マサミさんも笑うのはすぐに終わったので、これ以上は何も言いません。
「でも、そっか。ハルのパーティの記念すべき10人目のメンバーはアタシかぁ。それは嬉しいなぁ……!」
「それは私も嬉しいことなのですよ!」
私とマサミさんは笑いながら、再び森林エリアを走りはじめるのでした。
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