第187話 久々の水族館です!
和幸さんに送っていただいた私たちは入館料を支払った後、水族館の館内へ。
「ワカナちゃんはどこか見たいエリアなどはありますか?」
「……ジンベエザメが見たいかも」
「ワカナは小さい頃、ジンベエザメのいる水槽から離れなかったからな」
「そうなのですね!」
子供の頃のワカナちゃんのお話をカズさんも楽しそうになさっておられます。ワカナちゃんもそんなカズさんの話に乗っかり、以前に来た時の話などを色々してくださったのです。
私としてはそんなおふたりが楽しそうに話されているだけで、幸せな気分でした。
「そうだ、ハルはどのエリアを見たいんだ?」
「私はですね……この日本海溝のエリアを見てみたいです」
「日本海溝エリア……ああ、タカアシガニがいるところか」
「カズさん、海の生き物にお詳しいのですか?」
「いや、詳しいわけじゃないが、前に来た時に名前だけ覚えたんだ」
カズさんはマップを片手に、頬をかかれて恥ずかしそうにしておられました。ですが、名前を知っているだけでも、私よりもスゴイと思うのですよ……!
そうして回りたい場所などを話し合って決めつつ、順路に従ってゆっくりと館内を見て回りました。中でも、南極圏エリアでのペンギンさんや、北極圏エリアのアザラシさんなどはワカナちゃんがはしゃいでおられたのが印象的です!
また、ずっと落ち着いた様子で回っておられたカズさんもクラゲを見て、少年のように目を輝かせておられました。そんなカズさんを見ていると、カズさんも大人っぽく振る舞っているだけで、まだまだ男の子なのだということを実感します。
それに、私としても宇宙空間のように真っ暗な空間でクラゲを見るのは楽しかったのです……!
「そうだ、ハルが行きたがっていた日本海溝エリアの奥にカフェがあるんだが、良かったら寄っていかないか?」
「そ、そのような場所にカフェがあるのですか……?」
「ああ。客席から水槽を見れるらしい。俺も行ったことが無いから、詳しいことは知らないが」
水槽を見ながらまったりお茶ができるなど、行く以外の選択肢がありません!
「カズさん、そのカフェ行きたいです!」
「オッケー、分かった。ワカナはどうする……って聞くまでもないか」
ワカナちゃんの方を振り返ると、カズさんのおっしゃったことが理解できました。あれほど目をキラキラと輝かせておられるのです。それは瞳に『行きたい!』と書かれているようなもの。
こうして、私たちは日本海溝エリアをのんびりと見て回りながら、カズさんのいうカフェへと向かうのでした。
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