第149話 暗黒騎士ベルベット①
私の目の前におられるのは暗黒騎士ベルベットさん。右手で漆黒の剣を構え、その身を漆黒の鎧で包んでいるのです。
そんな暗黒騎士ベルベットさんから放たれるプレッシャーに、私は手の震えが止まりませんでした。とてもここがVRゲームとは思えない、そんな緊迫感がそこにはありました。
私はそんな強敵オーラあふれる方を前に棒立ちしているわけにもいかず、腰に提げている回治の剣へと手をかけました。青色の柄を握りしめ、鞘から引き抜くと、黄金の刀身が露わになるのです。
そんな回治の剣を右手で構え、左手のジェムストーンバックラーを胸の高さへと持ってきます。そして、右足を一歩下げた状態を維持し、戦闘開始に備えました。
――そうして天井からこぼれた一滴の水滴が地面で弾けた瞬間、戦闘は開始されました。
暗黒騎士ベルベットさんは戦闘開始直後、一気に私との距離を詰めて攻撃を仕掛けて来られました。私としては心の準備が出来ていなかったため、慌てて氷魔法で作り出した氷の矢を連射し、接近を阻もうと努力しました。
その結果、暗黒騎士ベルベットさんの体力ゲージを5%ほど削ることに成功したのですが、接近を許してしまう形となりました。
そこからは斬撃の嵐と呼ぶにふさわしい、怒涛の連撃がぶつけられました。
暗黒騎士ベルベットさんの持つ漆黒の剣は私との距離を詰めている間に、黒い炎が纏われており、その炎はどうも黒い色をしているだけで炎魔法であることはすぐに分かりました。
そんな黒く燃え上がる剣による斬撃が上下左右あらゆる角度から見舞われるのですが、私は手にした剣と盾で防御するのもやっとという有様でした。
そんな防御だけで手一杯だったにもかかわらず、私は斬撃を二発ほどくらってしまい、体力ゲージを4分の1ほど削られてしまう形に。
この一瞬で私は暗黒騎士ベルベットさんの体力ゲージを5%削り、逆に私は25%も削られてしまう形になってしまったのです。
そして、この時に悟ったことがあります。
そう、この暗黒騎士ベルベットさんは私と同じくらいの累計ステータス値を持つ仲間とパーティを組んで戦う相手なのだと。
それを私は今、1人で戦っているのです。これはムリゲーだと気づきました。ですが、落とし穴に落ちて、ワカナちゃんたちに心配をかけて、そのうえ落とし穴に落ちた先で敵と戦って倒されてしまうなど、足手まといにも程があります!私、クランのリーダーなのに!
ですが、そうならないための方法がひとつだけあるのです。
それこそ、私一人で目の前の暗黒騎士ベルベットさんを倒して、ワカナちゃんたちと合流するということ!それしかありません!
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