第152話 襲撃者は女性でした……!

 ……フードがめくれて露わになったプレイヤーの顔は、キツネ耳の生えた黒髪ショートの女性でした。


 てっきり、男性だとばかり思っていたので、この時ばかりは驚きました。ですが、戦闘中に驚いたのが良くありませんでした。


「フッ!」


 突如として赤いオーラを纏った襲撃者の方は私の剣を受け流して、斬り上げを見舞われたのです。私は驚いていたことによって反応が遅れてしまい、ガードすることも出来なかったのです。


 それによって、私は宙へと浮かび上がり、放物線を描いて地面へと落下しました。襲撃者の方は大鎌を振りかぶって、私への更なるダメージを狙って攻撃を仕掛けて来られました。


 ――ガキィン!


 振り下ろされる大鎌。それは私の目の前で停止していました。ですが、私が剣で受け止めたわけではありません。


 割って入ったのは金色の穂先に深い青色をした長槍。つまり、ユーカさんでした。


「ハル、大丈夫か……!」


「はい!おかげさまで大丈夫なのです!」


「なら良かった。マサミ!ワカナ!一気に押し返すぞ!」


 私から目の前の襲撃者へと視線を戻されたユーカさんはマサミさんとワカナちゃんのおふたりと協力なさって、襲撃者の方を追い返してしまわれました。


 その際のマサミさんの短剣捌きや、ワカナちゃんの雷魔法の命中率も凄まじく、目を見張るものがありました。


 ともあれ、私たちを襲った襲撃者の方は追い返された後は、姿を見せることはありませんでした。


「皆さん、私の不注意で――」


「ハル!そんなこと気にしなくていいよ。アタシたちだって襲ってきたのが女性でビックリしたんだから」


「そ、そうなのですか……?」


 マサミさんからの言葉は噓偽りではないのは分かっていましたが、そんな風に返してしまう私なのでした。


 にしても、今のお方は実力からして累計ステータス値が2万はあると思うのですが、周りに仲間がおられないことを考えると、ソロプレイヤーなのでしょうか?


 また、私以外のユーカさんやマサミさん、ワカナちゃんの3人を同時に相手取って逃げおおせてしまう辺り、なかなかの技量のようですが……


「ハルさん、今治癒魔法をかけますね」


「わぁ、ルビアちゃん!ありがとうございます!」


 すかさず治癒魔法でダメージを癒してくれるルビアちゃん。ですが、先ほどの一撃で体力ゲージが5割弱削られていることに驚いておられました。


 なにせ、私が受けた攻撃は先ほどの一撃だけなのですから。


「ハルを攻撃したヤツ、力上昇魔法を使っていたらしい。赤いオーラが何よりの証拠だ」


 戦いを一歩引いた場所から俯瞰して見ていてテツさんの一言。私はその言葉の続きが気になってしまいました。

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