第88話 戦士同士の戦い②

「フハハハハッ、どうした!これで終わりかぁッ!」


「グッ……!」


 カズは大剣でバンブスグラスの攻撃を弾くだけで手一杯。であるのに、バンブスグラスの猛攻はカズの体力ゲージを確実に削っていく。ただただガードが相手の猛攻ぶりに追いつかないのだ。


 バンブスグラスの一撃はカズの体力ゲージを約15%ずつ削っている。それがすでに4発。これだけですでに6割近いダメージを受けていることになる。それもカズは身体強化で耐久も1.5倍に上がっているにもかかわらず、だ。身体強化を使っていなければ、すでに勝負がついていることだろう。


 しかし、カズたちのパーティには確かにルビアという優秀な治癒士ヒーラーがいる。そのため、回復は問題ない……はずだったのだが、向こうの方で敵からの攻撃を受けており、回復どころではないのはカズの位置からでも分かる。


 ――ここは自分の力だけで何とかするしかない。


 そう覚悟を決めてカズは防御を捨てた。


「バカ者めがッ!防御を捨てたか!」


 バンブスグラスはここで決めるとばかりに大剣を頭の後ろまで振りかぶった。胴どころか、前面すべてがガラ空きである。


「これでもくらえッ!」


 大剣の切っ先を後ろへと向けていたカズは、下半身のすべてを使って大剣をフルスイング。これをカズは待っていたのだとバンブスグラスが悟った時にはもう遅かった。


 斬撃のエフェクトが輝き、バンブスグラスの体力ゲージを削る。1割弱ほどであるが、確かなダメージ。


「ぐぁぁぁっ!?」


 しかし、次に上がった痛みに耐えるような声はバンブスグラスのものではなかった。


「オレ様の装備、『トゲ』シリーズは受けた物理ダメージを反射するのだ!合計で受けたダメージの25%くらいだが、4分の1倍返しだぜェ!」


 カズの体力ゲージが5%にも満たないが、確実に減った瞬間だった。そこへ、頭上から大剣での一撃。


 ズドン!という爆砕音が響き、カズが煙の外へと弾き飛ばされる。その体力ゲージは残り1割強といった具合になっていた。それは、後一撃でもくらえば、カズの体力ゲージが0になることを意味している。


「さぁて、そろそろ終わりにするか。だが、オレ様にダメージを与えたのは褒めてやるぜェ?」


 バンブスグラスはけらけらと笑いながら、ゆっくりとカズへと足音を近づけていく。カズは大剣を握り、よろよろと起き上がるが、先ほどよりも弱っているのは明らかであった。


「それじゃあ、最後にオレ様も本気を出してやるとするかァ」


 バンブスグラスはここで戦士ウォーリアの職業補正である身体強化を使用した。つまり、だ。


「今までは身体強化を使わずに戦っていたってことか……!」


 カズは驚愕の事実に絶望を覚えた。もう、どうすることもできない……と。

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