第114話 武器を買いに④
「ルビア様にはこちらですね」
少年店主さんはカウンターに新たな装備を並べられました。
先端に白い宝玉のはめられた水色の杖、白い粒子をまとったローブ、中央に赤い宝玉のはめられた真っ白なサークレット、気品のある白色のブーツの4つになりますが、これまたルビアちゃんに合わせて選んできた装備なのでしょう。
ただ、そのやり取りの中で少年店主さんがルビアちゃんの揺れるお胸から目を逸らすような仕草があったのを私とワカナちゃんは見逃しませんでした。
「一番のオススメはこの人魚の杖ですね。力と魔力を高めるだけでなく、パーティ全体の魔法ダメージを2%減少させます」
「えっ、私だけじゃなくパーティ全員の……!?」
ルビアちゃんが驚いておられますが、それは私も同じです。その後の少年店主さんの説明だと、使われている素材が特殊だからとのことでした。
「そして、この聖光のローブは耐久と魔力を高めて光魔法によるダメージの5%の体力を回復させる」
パーティ全員の魔法ダメージを軽減する杖の次は光魔法のダメージでルビアちゃんの体力を回復させるローブ。本当にスゴイ装備ばかりなのです……!
「この光のブーツはただ敏捷のステータスをあげる装備で、光のサークレットは耐久と魔耐のステータスを与えるものとなります」
先ほどの2つの装備に比べれば見劣りするかもしれませんが、今ルビアちゃんが装備しているものよりはステータスの上昇が大きいとのことで、ルビアちゃんは購入することに決められました。
「店主」
「はい。カズ様、なんでしょうか?」
「俺たちのために良い装備を選んでくれたのは嬉しいんだが、何か裏とかがあったりしないのか?」
カズさんはどうやら私たちに装備を選んでくれたことに何か狙いがあるのではと疑っておられるようなのです……
「……カズ兄、この人がそんなことしないと思うけど」
「……悪い、店主。今のは聞かなかったことにしてくれ」
ワカナちゃんの言葉でカズさんは謝っておられましたが、少年店主さんまで頭を下げられたのは何やら違うような気がします。
「そうだ、店主はどこかのクランやパーティに入っていたりするのか?」
「いいえ。ボクはどこにも所属していませんが……」
少年店主さんは首を横に振られましたが、これほど装備を選ぶのが上手い方がどこのクランやパーティにも所属しておられないのはもったいないような気がするのですよ。
「だったら、俺たちのパーティに入ってもらうことは出来ないか?入ってくれれば、新しく武器を買うのはここでしか買わないようにするが……」
カズさんの突然の発言に少年店主さんともども戸惑う私たちなのでした。
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