第192話 飛竜免許

 ホワイトデーからちょうど一週間が経ち、ユーカさんのご実家に遊びに行く一週間前になりました。今回ユーカさんのご実家に遊びに行くのは、私を含めて6人。


 その6人というのは、私とカズさん、ワカナちゃん、ルビアちゃん、マサミさん、マサルさんになります!なんでもマサルさんは京都にお住まいですので、前日からマサミさんの部屋に泊まりに来るのだそう。


 今回来れないメンバーは私の両親とケースケさん、ホーリーホックさんの4人なのですが、両親は『いい年して娘の友人宅に押しかけるわけにはいかない』と言ってこないことに。また、ケースケさんとホーリーホックさんは仕事の都合で行けそうにないとのことでした。


 そんなわけで、いつも通り学生組だけで遊びに行くことになったのでした。もちろん、ユーカさんとテツさんはすでに帰省しておられるので、現地での合流になります。


 そして、新幹線の予約はユーカさんが私の名前で行なったそうなので、私が色々と重要な役割を果たすことになってしまっていました。


 それはともかく。私たちはユーカさんのご実家に行く前に、テツさんの工房で重要なことを話し合っていました。


 重要なこと。それは誰が飛竜免許を取るのかということです。ルールとしては、クランやパーティの規模の10分の1の人数しか取れないルールになっているそうです。


 つまり、私たちのクランは12人ですので、1人しか飛竜免許を取得することができないのです。そんな飛竜免許の取得には、自動車免許のように教習所に通ったりするのではなく、『ドラゴンライダーの証』というアイテムを限定クエストのクリア報酬として受け取る必要があります。


 そんな飛竜免許を誰が取得するのか、話し合った結果。テツさんが取得するということで決定したのでした。


 理由としては、後衛職であるテツさんも飛竜に乗って空を飛んでいればイベントの際には地上よりは安全だし、イベントの際に全体を把握しやすいという利点があるからなのです。そして、飛竜には操縦する人以外にもう1人乗せることができるので、空を舞う休憩スポットに出来てしまうわけなのですよ。


 こうして、飛竜免許はテツさんが取るということで決定したわけですが……


「肝心の限定クエストは『飛竜を自分たちで仕留めること』らしい。まあ、マップに行くべき場所はマークが出ているから道に迷うことはないだろうが……」


 当のテツさんは少し悩んでおられました。それは飛竜の強さです。確かに私とユーカさん、マサミさんといった主力が当たれば問題なく倒せる相手なのですが、『飛竜免許を取得する人が戦闘終了時に生き残っていること』という条件を見て、二の足を踏んでおられるのでした。


 これは後衛職のテツさんにはなかなかハードな条件かもしれません……!一体、どうすれば良いのでしょう!?

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