第205話 夕食を持ってきてくださったのは
「カズさん、マサルさん!今、お風呂あがりました」
「あっ、分かりました!ボクも入ってきます!」
部屋を見渡せばいらっしゃるのはマサルさんのみ。隣の部屋にもカズさんの姿はありませんでした。まだ用事が済んでいないということでしょうか?
「おっ、ハルたちもう上がってたのか」
そんなカズさんの声が階段下から。どうやらカズさんは今戻られたようです!
それからすぐに軽やかな足取りと共にカズさんが上がって来られ、マサルさんとご一緒に露天風呂へ。男性のお風呂へ行く準備が早いのは昔からスゴイと思っているのですよ。
ともあれ、私たちが和室で脱いだ衣服を鞄に直した際、ワカナちゃんと一階の居間でくつろごうという話になり、マサミさんとルビアちゃんも誘って一階の居間へ移動したのです。
……すると、まるで待ち合わせでもしていたかのように離れの入口からユーカさんがいらっしゃったのでした。そんなユーカさんを応対したのはマサミさん。
「ユーカ?どうかしたの?」
「『どうかしたの?』……と言われても、女将に言われて料理を持ってきただけなんだが」
ユーカさんの手には料理をのせたトレーがしっかりと握られていました。
「まさか、お一人で運んでこられたのですか?」
「いいや、テツも一緒だ」
「ああ、女将からユーカだけじゃ運べないだろうから手伝ってやってくれって頼まれてさ」
そういうテツさんも料理を抱えて重そうだったのですが、手伝おうとすると断られてしまいました。ユーカさんいわく、『お客様に手伝わせたとあっては、女将に叱られてしまう』とのこと。
ともあれ、私たちはユーカさんとテツさんが居間の食卓に料理を並べてくださるのを黙ってみているだけでした。それでも、ユーカさんもテツさんも手際よく配膳を済まされ、速やかに離れを去っていかれたのです。
本音を言えば、ユーカさんとテツさんの2人とも一緒に食べたかったのですが、おふたりともまだやらなければならないことがあるらしく、それはできないとのことでした。残念です……
そして、配膳が済んでユーカさんとテツさんが離れを去られてすぐ、入れ替わるようにカズさんとマサルさんが露天風呂から上がって来られました。
「お、ユーカのヤツが届けてくれたのか」
「そうなのです!おいしそうです!」
「ああ、俺とマサルは上に荷物を置いてくるから、それから一緒に食べよう」
「はい!皆さんもそれでよろしいですか?」
皆さんコクリと首を縦に振ってくださったので、6人揃って夕食を食べることができるのですよ!それにしても、どうしてカズさんはお食事を届けてくださったのがユーカさんだと分かったのでしょう?
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