第103話 またお会いしましょう!

「それでは、和幸さん。今日のところは失礼しますね」


「ああ、わざわざ来てくれてありがとうな」


「いえいえ、最近お会いできていませんでしたし、お誕生日も祝いたかったですから」


 私は和幸さんの家を出て、帰路につきました。


 それにしても、今日はただ和幸さんのお誕生日をお祝いしに行っただけでしたが、色々なことがありました。まさかカズさんとワカナちゃんが和幸さんの弟さんと妹さんだったとは思いませんでした。


 ですが、カズさんの様子も気になりますし、ワカナちゃんも話をしてほしいとおっしゃっていたので、帰ったらSdnGにログインするのです……!


 私がアパートに帰ってくると、ちょうどルビアちゃん――いえ、茜ちゃんが部屋を出てくるところでした。


 そんな茜ちゃんはエコバッグとお財布を手にしておられました。


「茜ちゃん、買い物へ行かれるのですか?」


「はい。晩ご飯の材料を買いに行こうと思って。ハルさんは今帰りですか?」


「そうなのです。よろしければ、私も晩ごはんを一緒に食べてもいいでしょうか?もちろん、買い出しにも付き合いますので……!」


「良いですよ。私もハルさんと一緒に食べたいです」


 茜ちゃんはそう言ってニコッと微笑んでおられて、可愛いのです。陽が落ちてきて暗くなりつつある中で、キラキラとした笑顔は眩しいです。


 ともあれ、私と茜ちゃんは近くのスーパーで晩ごはんに必要な材料を買いそろえ、アパートへと帰宅したのでした。そんな晩ごはんは、なんとカレーです!


 そうして私が自分の部屋のドアを開けようとしたところで、茜ちゃんからストップが。


「ハルさん、今日は私の部屋で食べませんか?出会ってすぐにハルさんの部屋にあげてもらったので、今回もあげてもらうのは申し訳ないですから」


「でしたら、お言葉に甘えて……!」


 そんなわけで、今日の晩ごはんは茜ちゃんの部屋で食べられることになったのでした。


「ハルさん、カレーは私が作るので、ソファーに座ってくつろいでいてください」


「いえいえ、さすがに私も手伝います……!」


「これはいつもSdnGでお世話になっているお礼ということで」


「ですが……」


 私はもう一度手伝うというつもりでしたが、茜ちゃんの双眸を見て、お願いすることにしました。あの瞳からして、やると言ったらやるという気迫を感じました。これ以上は何も言わない方が良さそうなのです。


 私は茜ちゃんから言われるままにソファーでごろりと横になったのですが、そのままあっさりと意識を手放してしまうのでした……

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