第57話 クランを抜けるということ
「テツ、それって……!」
「ああ、ハルさんたちをアヤのクランに入れるんじゃなくて、ユーカがハルさんたちのパーティに入ればいい。そうすれば、ハルさんと一緒に遊べるだろ」
テツさんの言葉に押し黙るユーカさん。
「それに、ハルさんを追放したのはアヤなんだろ?だったら、今アヤのクランに入れたところで余計に面倒なことになる」
私はテツさんの言うことの方が良いような気がします。ですが、ユーカさんのお気持ちしだいだと思うのです。
「……テツの言う通りかもしれないな。だが、ハルに聞きたいことがある」
「な、何でしょうか?」
「ハルはアヤと仲直りしたいのか?」
「それはもちろんです!前のようにマサミさんやユーカさんも入れた4人で一緒にSdnGを遊びたいです!」
私はアヤさんと仲直りがしたい。これが私の願いのようなモノなのです。そのうえで4人でもう一度……!
「よし、分かった。私はアヤのクランを抜ける。それから、ハルのいるパーティに入る。アヤとは最近、折り合いも悪くなってきている。むしろ、距離を置くには良い機会かもしれない」
「それなら、大歓迎なのです!カズさんとワカナちゃんにも報告しておきますね!」
「いや、報告の方はルビアに任せたい。ハルだとうっかりして伝え忘れる可能性がある」
「分かりました。ハルさんに代わって、私の方から連絡しておきます」
ユーカさんとルビアちゃんは見つめ合っておられるのですが、何やらこの短時間で通じ合っておられるみたいです!
「それじゃあ、オレもアヤのクランを抜けるかな」
「な、どうしてテツまで抜けるのだ!お前まで抜ける必要は……」
「だって、ユーカいないんじゃ、あんなクランに留まる意味ないし」
テツさんの言葉でユーカさんは俯いてしまわれました。しかも、お顔がリンゴのように真っ赤です!
そして、ルビアちゃんはそんなお二人を見てふふふと笑っておられます。ですが、私もユーカさんとテツさんを見ていると、何やら癒されるものがありました。
それはさておき、この事を翌日にワカナちゃんに報告したところ、かなり驚かれたのでした。
それもそのはずです。いきなりパーティメンバーが2人も増えたわけですからね!
しかも、前回の第6回イベントでは上位32位にランクインしたクランからの移籍者とあってはなおさらです。
そんなお二人が抜けるということがありながら、アヤさんからはあっさりと脱退の許可が下りたそうです。
テツさんが言うには、アヤさんとしても意見の合わないユーカさんが抜けるのを引き留める理由はなかったんだろうとおっしゃっておられました。
ともあれ、これで私たちのパーティはカズさん、ワカナちゃん、ルビアちゃん、ユーカさん、テツさん。そこに私を加えた6名となったのでした。
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