第185話 3人で遊びに
私は和幸さんの家へ遅れてはなるまいと駆け足で向かいました。その甲斐あってか、無事に予定時間よりも早く到着することができたのでした。そんな予定よりも10分ほど早い到着にホッとしていると、支度を終えたカズさんが玄関から出てこられました。
「なんだ、ハル。もう着いてたのか?」
「ええ、少し急ぎめで来たので……!」
「何もそんなに汗だくになるほど急がなくても良かっただろ……」
私はカズさんの言葉でハッとし、額に指を当てると確かに汗ばんでおりました。言われてみれば、腕から腋の下、足裏などあちこち汗だくなのでした。ここへ来るのに必死で、自分がそんな状態だと気づくことすらなかったのですよ……!
「でもまあ、それだけ急いできてくれたのは俺とワカナを待たせないためなのは分かるから、そこは嬉しいし、何よりハルらしいと思うけどな」
「そう言っていただけると助かるのです」
カズさんと言葉をかわしながら乱れた呼吸を整えていると、続いて和幸さんが玄関から顔を覗かせたのです。
「お、千晴はもう来てたのか」
「はい、たった今到着したのです!」
「そうか……って、汗だくじゃないか!まさか走って来たのか?」
「えっと、走ったのではなく、早歩きですが……」
そう私が言葉を返すと、和幸さんが御自分の頭をくしゃくしゃなさった後、こうおっしゃられたのです。
「ハル、ワカナは準備がまだだから、汗だけでも流していったらどうだ?そんな汗だくで出かけるのは嫌だろ?」
「あ、そうですね……!ではお言葉に甘えて……!」
私は和幸さんの言葉に甘えてシャワーをお借りすることに。着替えの方はワカナちゃんに持ってきていただく手はずとなり、私は浴室でシャワーを浴びました。
そうして私がシャワーを浴びていると、ノック音と共に和幸さんの声が聞こえてきたのです。
「千晴!脱いだ衣服とかは洗濯機に放り込んでおいてくれ!遊びに行っている間に洗濯と乾燥を済ませておくから!」
「分かりました!何から何までありがとうございます!」
そして、和幸さんが立ち去った頃、外から車のエンジン音と和幸さんとカズさんの話し声が耳に入ってくるのでした。さすがにこれ以上待たせるわけにはいかない気持ちになり、脱衣所に戻り、体から水滴を拭き取ります。
「……ハルお姉ちゃん。着替え持ってきた」
そのタイミングで、ワカナちゃんがノックして脱衣所へとやって来られました。
「あ、ワカナちゃん!着替え、ありがとうございます」
「……ううん、別にこれくらい。でも、サイズ的にハルお姉ちゃんに合うかどうかまでは……」
ワカナちゃんはどうやら手持ちで一番サイズの大きな服を持ってきてくださったそうで、気づかい痛み入るのです……!
ともあれ、これでようやく出発することができるのですよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます