第71話 残り一つの素材!

「ガルルァァァ……」


 ドスン!という大きな音を立てて、ブラギシスは地面に仰向けに倒れこまれました。その後、光の粒となって消えてしまったのですが、HPを削り切るのに時間がかかりすぎました……


「……倒すのに1時間くらいかかった」


「そうですね……!ですが、無事に倒せましたし、暴魔の銀塊も手に入れました!」


 これで、後は魔賢者ソーマシルを倒して、魔賢者の指輪を手に入れるのみです!


「とりあえず、今日は町まで戻ってログアウトしよう。魔賢者ソーマシル戦は明日だ。みんな、明日の13時にテツの工房前に集合しよう」


 ユーカさんにそう伝えられた私たちは町へと戻り、ログアウト。明日の魔賢者ソーマシル戦に備えて、その日はゆっくりと休んだのでした。


 ――翌日。


 私たちはテツさんの工房の前に集合し、雪原地帯へと出発。


 一面吹雪のフィールドを歩いて移動すること1時間。何とか魔賢者ソーマシルのいる祠へと辿り着きました。


「魔賢者ソーマシルのHPと耐久は今まで戦ってきた鋼魔の巨人と暴魔ブラギシスに比べれば大したことはない。だが、魔法による全体攻撃を多用する上に、自分のダメージを治癒魔法で回復させる厄介な相手だ。情報では炎魔法、氷魔法、風魔法の三つで攻撃してくるらしい。他にも、睡眠攻撃をしてきたり、魔法封じの攻撃をしてきたりするから気をつけるんだ」


 ユーカさんが事前にテツさんから教わった情報を復唱。私たちも改めて確認しますが、相手も治癒魔法を使えるというのが何とも厄介そうです……


 ですが、ワカナちゃんの『魔導王の指輪』を作成するためにも、何としても倒さなければなりません!ファイトです!


「皆さん、私の治癒魔法もレベル9になったので、回復の方は心配せず、ドンドン攻めに回ってください!」


 祠に入る前、ルビアちゃんがそうおっしゃっておられましたが、昨日の暴魔ブラギシス戦で魔法のレベルが上がったらしいのです!


 あと一つレベルが上がれば、ルビアちゃんも治癒魔法を極めたことになります!本当にスゴイのです!


 また、ユーカさんの炎魔法と私の風魔法も昨日、レベル2になっているのです。


 大丈夫。私たちは一歩一歩強くなっている。そんな実感が心の奥から湧いてくる感じがするのです。


 そんな強くなっているという実感と共に、祠へと足を踏み入れます。


 祠の中は真っ白で、例えるなら中が広大な釜倉に入ったという感じでしょうか?


 ――そんな祠の奥に、杖を片手に持った老人の姿がありました。その老人とバシッと目が合った瞬間、戦闘に突入したのでした。

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