第6話

 俺は家に帰ってノートを開いた。

 ゲームにハマった影響か体重について分析をするようになったのだ。

 目標は体重を130キロから60キロに減らす!

 これがメイン目標だ。


 痩せれば、何かが変わるような気がした。

 多分、努力できる自分になる事で人生が変わる気がする。

 はっきりと何が変わるかは分からないけど、今の自分を変えたい。


 目標はこれでいい。

 次はハザマダイエットだ。

 俺のスキルはマイルーム


 10×10メートルの空間に部屋が2つ。

 半分は快適空間。

 もう半分はモンスターを倒す為の部屋だ。


 部屋を迷路構造にしよう。

 と言っても5×10メートル、壁を含めればもっと少ない空間では大した迷路は作れない。

 でも、やらないよりはいいか。


 マイルーム関連のスキルはと。

 ノートにペンを走らせた。


・キッチン、バス、トイレ、ベッド、監視カメラ機能

・シャドーランサー:昨日戦った感じではゴブリン3体分くらいの強さか?

・門1つ:ゴブリンの侵入を足止めする。


 ノートに書いた文字を見つめた。

 気を付ける所は……シャドーランサーと門が壊れれば連戦は出来ない。

 特にシャドーランサーは攻撃の要だ。

 出来れば連戦したい。

 倒されない限りシャドーランサーは疲れることなく動き続ける事が出来る。


 戦闘部屋を大部屋から迷路にする、それで様子を見ようか。

 ゴブリン4体に囲まれれば倒される。

 ゴブリン4体と一気に戦うより、ゴブリン1体か2体ずつと何度も戦う感じにすれば連戦できる気がする。

 モンスターを何度も倒せばドロップが期待できる。


 次は有酸素運動だ。

 今は片道3キロの学校を自転車で通い、そこから更に2キロ向こうのハザマ施設まで歩いている。

 往復で毎日6キロを自転車で走り、4キロを歩いている。

 毎日10キロを歩けばもっと効果は出る、でも、デブは膝を痛める可能性がある。

 無理はいけないか。


 ネットでダイエット情報は調べ尽くした。

 知識はある!

 後はやるだけ!

 そう、やるだけなのだ!

 計画だけは前から立てていたのだ!


 俺は夕食後に夜食の菓子パンとジュースを飲んで眠った。



【次の日の放課後】


 アマミヤ先生・レン・ユイと一緒にゴブリンのハザマに入った。


 レンとユイが2人でゴブリン6体と闘う。

 2人はあっという間にゴブリンを倒した。


「さらに安定しているな。次も行けるか?」

「「いけます!」」


 2人は5連戦する。

 そして最後のハザマ戦でゴブリンが魔石を落とした。


「ドロップ品おめでとう。ドロップ率は1%だ。幸先良いぞ」

「えへへへ」

「ありがとうございます」


「さて、どう分配する?」


 先生が様子を伺うように2人を見た。

 パーティーを組むと報酬の分け方で揉める事がある。

 先生、問題は起きないって。


「ユイが最初に貰おう」

「レンが最初に使って。次は私ね」

「……ありがとう」


 レンは魔石を拭いて飲み込んだ。

 魔石を飲み込むことで能力値とスキルが強くなっていく。

 ゲームのレベルアップのようなものだ。


「お金に変えないんだな」

「強くなってもっとモンスターを倒せるようになりたいんだ」

「いいと思うぞ。モンスターのドロップ率は1%だ。ドロップ品を手に入れるには基本はたくさんのモンスターを倒す事になるからな」


 ゴブリンの場合ナイフがドロップする確率もある為、魔石がドロップする可能性は1%より更に低い。


 モンスターで稼ぐためには基本ハクスラのように戦う必要がある。

 先生と2人が盛り上がる。

 俺だけ違う世界の住人のような疎外感を感じる。


「次はオオタだな。2人はベンチで休んでいてくれ」

「私も見学します」

「いや、休んでくれ。休息も大事だ」

「分かりました」


 

 2人がベンチに座るとアマミヤ先生と2人でハザマに入る。


 ゴブリン3体が接近する前にマイルームを発動させた。

 その瞬間に俺とアマミヤ先生はマイルームにワープした。


 ゴブリンが魔法陣に乗ってマイルーム内にワープし、進んできた。

 俺は画面を表示させて様子を見つめる。


「マイルームを迷宮のよう変えたか」

「はい、あ、ゴブリンが別れて動きます!これならシャドーランサーで倒せます!」


 シャドーランサーがゴブリン1体を倒すと自動で残りのゴブリンに迫った。

 次のゴブリンに狙いを定めると後ろから最後のゴブリンが迫って来た。

 俺は必死で応援した。


「くそ!早く1体を倒すんだ!あ、攻撃を受けたか!だがまだいける!」


 シャドーランサーは攻撃を受けつつもゴブリンを全滅させた。


「勝った!勝ちました!次に行きましょう!」

「……そうだな。オオタ、明日は学校で戦闘訓練だ。自分が使いやすい武器が見つかると良いな」

「はい、そうですね。次に行きましょう」


 次のハザマに入るとゴブリンが5体出てきた。

 マイルームに誘い込んで迎撃する。


「5体、行けるか!頑張れ!シャドーランサー!」

「ぐぎゃあああああああ!」


「2体倒したけど!仲間を呼ばれたか!まずい!頑張れ!シャドーランサー!」

「……」


「良し!3体目を倒した!4体目もたおし、ああああ!惜しい!シャドーランサーがあああ!後1体だったのに!」


 俺はマイルームを解除する。

 全員がハザマにワープした。


 ゴブリンが俺をターゲットにして追って来た。

 俺は颯爽とハザマの魔法陣に乗って退避した。


「ふう、逃げ切れました」


 アマミヤ先生が俺の両肩に手を置いた。

 いい匂いがしてドキッとする。


「明日の戦闘訓練で自分に合った武器を探そうな」

「は、はい、分かりました」

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