第80話
放課後になると全生徒が体育館に集まった。
強化合宿のメンバーを発表して拍手する儀式だ。
レンやユイが選ばれるけど、2人が凄いのは分かってる。
みんな分かってるから。
強化合宿は全国の冒険者高校からトップ100人を集める。
基本は中級、もしくは初級でもレベル9や10が参加する。
俺は初級レベル7、関係のない話だ。
「えー、もうすぐ夏休みですが、浮かれる事が無いように……」
校長先生の話が長いのも儀式だ。
俺は浮かれて夏休みの事を考える。
まず、オートでモンスターを少しずつ倒していく。
そして、魔石をどのくらい食べてどのくらい残しておくかも考えておこう。
更にヒトミには大量の素材を渡して夏休みで大量生産からの夏休み明けで一気に売り出すのもいいし、学校以外に売ってもいい。
今の内に宣伝をしておいてもいいかもな。
「次に強化合宿のメンバーを発表する」
アマミヤ先生がメンバーを読み上げる。
行くのはレンパーティー、そしてユイだ。
「キイロ、前に!」
レンがメンバーに選ばれると拍手が起きる。
俺は周りの動きに合わせて拍手をしつつ別の事を考える。
レンの凄さはもう知ってる。
今はヒトミの錬金計画だ。
レンとユイには渡した武器を持ってポーズを取って貰い撮影して、レンデザイン、ユイデザインとしてヒトミに同じ武器を作って貰い売り出すのもいいだろう。
その辺はヒトミと相談してみよう。
更に、何と言ってもレッドオーラの進化だ。
グレートオーガを倒してしまって燃え尽き症候群的な、むなしさがあった。
でも、1日1つ、スキルを確認して幸せに浸るのも悪くないだろう。
金棒は滅茶苦茶強くなった。
恐らく、
「オオタ!オオタフトシ!前へ!」
「ふぁ!」
「オオタフトシ、前へ」
「なんで?」
「オオタフトシ、前へ」
「は、はい」
俺は前に出てアマミヤ先生に向き合った。
「オオタフトシ、強化合宿の選抜メンバー選出、おめでとう!」
「え?でも俺、初級ですよ」
「聞いていなかったのか?特別推薦枠での選出が正式に決まった」
俺は土下座した。
話を聞いていなかったのは事実。
即謝る!
「すいませんでした!校長先生のお話にあった夏休み気分に浸ってぼーっとしていました!本当にすいませんでした!」
「オオタ、話を聞いてくれ」
「アマミヤ先生!すいませんでした!そして校長先生も、すいませんでした」
俺は土下座の角度をしゅっと変えて校長先生にも土下座をした。
「オオタ!話を聞け!」
「はい!聞きます!」
「土下座をやめて立ってくれ」
「はい!」
俺はすっと立ち上がった。
「おほん、冒険者ランク試験の試験官がモンスター省に逸材、オオタフトシがいると報告が入った」
「なんで!」
「オオタ、いいから黙ってくれ。ダンジョン省がオオタの試験状況を動画で確認し、めでたく強化合宿の特別推薦枠として参加する事になった」
「……」
パチパチパチパチパチパチ!
「お、俺ですか?初級レベル7の俺ですか?」
「そうだ。オオタは強化合宿の特別推薦枠として強化合宿への参加が決まった。オオタは強化合宿のメンバーに選ばれた。おめでとう!」
パチパチパチパチパチパチ!
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
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