第67話

 お互いのレッドオーラが切れたタイミングでモンスターに動きがあった。

 タンク・ファイター・ビショップ・キングの順番でワープして来た。

 その後ろからグレートオーガの群れがどんどんワープしてくる。


「行け!シャドー!テスラゴーレム!」


 13体のシャドーがタンク、ファイターに攻撃を仕掛けた。

 テスラゴーレムはキングに攻撃を仕掛けた。

 俺はあえて攻撃を分散させおとりに使った。


 ビショップの元に走った。


 ビショップは厄介だ。


 ビショップがいる限り回復され続ける。


 ビショップを今ここで叩く!


 シャドーとテスラゴーレムを犠牲にしてでも倒す!

 シャドーとテスラゴーレムがやられる前にビショップを倒せなければ倒す事は難しくなる。

 ビショップを倒せなければ負けが確定する!

 出し惜しみしている場合じゃない!


「レッドオーラ!」


 ビショップが後ろに下がり、後から来たグレートオーガに隠れようとした。

 俺は邪魔をするグレートオーガを倒しながら、ビショップの出す魔法の盾を壊しながら迫り、ビショップを攻撃した。

 周りを見るとシャドーが半分ほどやられていた。


「倒れろ!早く倒れろおおおお!!!!」


 何度も何度も金棒で殴った。

 シャドーが4体とテスラゴーレムしか残っていない。


 時間がない!

 テスラゴーレムはキングに一方的に攻撃を受けている。

 シャドーもテスラゴーレムももう持たない!


「倒れろおおおおおおおお!」


 ビショップは魔法の盾を展開した。

 何度も何度も邪魔過ぎる!

 俺は魔法の盾を壊した。


 そしてビショップの元に迫ろうとするとグレートオーガが迫って来た。

 グレートオーガを倒して更にビショップに迫った。

 ビショップが全力で後ろに走る。


「待てえええええええええ!逃げるなああああ!」


 俺は走ってビショップの頭を殴ろうとするが肩を掠っただけだった。

 くそ!浅いか!



 だがその事でビショップがバランスを崩した。

 今しかない!

 今だ!

 俺は迫って来るグレートオーガを無視してビショップに連撃を叩きこんだ。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 バキン!バキン!バキン!バキン!


 ビショップに4連撃を叩きこむとビショップが倒れた。

 ビショップの魔石を飲み込んで周りを確認しようとすると後ろからグレートオーガに殴られた。

 そこまで痛くはない!

 吹き飛ばされながら現状を確認する。


 残るシャドーは2体だけでタンクと闘っている。

 ファイターはちょうどシャドーを倒し俺に目を向けた。

 キングはテスラゴーレムを一方的に殴っている、すぐ倒されるだろう。


 シャドーとテスラゴーレムはすぐにやられるだろう。

 キングとタンクを倒すには時間がかかる。

 ファイター、次はファイターだ!


 ファイターがこっちに迫って来たか!

 好都合だ!


 ファイターを倒して負担を減らす!


 俺は邪魔なグレートオーガを倒しながらファイターに飛び込んで連撃を叩きこんだ。

 行ける!倒せる!

 ファイターを一方的に攻撃して魔石に変えた。

 ファイターを魔石に変えて魔石を飲み込む。


「はあ、はあ、後は、キングとタンクか」


 

 マジシャン・ビショップ・ファイターは倒した。

 今ここにいるのはキングとタンクだが、どっちも簡単には倒せない。

 攻撃している間にグレートオーガの攻撃を受けるだろう。

 息が切れる。

 スタミナが、持つのか?

 


 周りをパッと確認した。


 テスラゴーレムとシャドーが、すべてやられた!


 俺のレッドオーラが消えた!


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 周りにいるグレートオーガとタンクが赤い光をまとった。

 なん、だと!

 味方をただ強化するだけじゃない。

 ただ光るだけじゃない、赤く、レッドオーラと同じ赤い光!

 味方にもレッドオーラを使えるのか!


 キング以外のモンスターが赤く輝く。

 その光景に嫌な予感がした。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 更にキング自身も赤いオーラを発した。

 キング・タンク、周りにいるグレートオーガすべてがレッドオーラ状態になった上でキング自身もレッドオーラ状態!


 対して俺のレッドオーラは切れた。

 シャドーもテスラゴーレムもすべて全滅した。


 後先考えている暇はない!

 4回使える内の3回目を使う。

 いや、使わざるおえない!

 使わなければ、押し負ける!


「レッドオーラ!」


 大楯を構えて走って来たタンクに金棒を叩きこんだが、少し後ろに下がっただけで大きく吹き飛ばない!

 前にも増してうざくなった!

 吹き飛ばしてもすぐに立て直してまとわりついてくる!

 横からキングが走って来た。

 キングと金棒を打ち合う。


 周りからはレッドオーラで強化されたグレートオーガが迫って来た。

 俺は後ろにステップを踏んでグレートオーガを攻撃した。

 だが、たまに金棒で攻撃を防がれる。

 1撃で倒せないか!

 雑魚も明らかに強くなっている!


 1撃で攻撃を当てられればグレートオーガを倒せる。

 でも防がれると攻撃回数が増えその間に囲まれてしまう。

 スタミナが持つか!?

 いや、後先を考えるな!

 キングとタンクを倒さなければ俺はやられる。


 キングとタンクは何度攻撃してもすぐに体勢を立て直して殴り掛かって来る。

 その間にキングとタンクが攻撃をしてくる事でキングもタンクも倒しきれない。

 だが、


「はあ、はあ、強化したグレートオーガは倒した!もうすぐお前のレッドオーラは切れる!」


 そう言った瞬間にキングが口角を釣り上げた。

 闘技場にいるすべてのモンスターと俺のレッドオーラが切れると、キングが雄たけびを上げた。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 闘技場にいるすべてのモンスターが赤いオーラをまとった。


「ぐう、レッドオーラ!!」


 俺は最後のレッドオーラを使った。

 使わなければやられる。

 キングは自らを3回、味方に2回レッドオーラを使った。

 俺の限界使用回数は4回だ。


 でも、キングは5回使っている。

 まさか、無限に使えるのか!?

 いや!それだとおかしい!

 無限に使えるならキングはレッドオーラを常に使い続けるだろう。

 だが、レッドオーラを使われた時点でキングを速攻で倒す事は出来ない!

 

 俺は消耗戦を強いられた。

 タンクは常に俺にまとわりつくように迫ってきて、キングの攻撃は重い。

 周りにいるグレートオーガが俺の集中力を奪う。

 スタミナが、もたない。



 1分が経過して全員のレッドオーラが消えた。

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 キングが雄たけびを上げた。

 ……体が、赤く光らない。

 レッドオーラは使ってこないか。

 だが、最悪を免れただけだ。


 グレートオーガは増え続けている。

 タンクとキングは健在。

 俺は1人、レッドオーラは使えない。

 息が切れて目が霞んできた。


 キングが俺に飛び込んできた。

 周りからはグレートオーガとタンクの攻撃を受けそうになるがいなした。

 消耗戦だ。

 俺のスタミナは徐々に削られ、キングとタンクに有効な攻撃を繰り出せないまま時間が過ぎる。


 俺は運がいいはずだ!

 ジョーカーの魔石を飲み込んでから運が良かったはずだ!

 今日は運の良さを何も感じない!

 運を脅威が上回っているのか!?


 俺は怒りをぶつけるように金棒を振り回した。

 その瞬間、キングの金棒が折れた。

 チャンスは今しかない!


 キングを壁に吹き飛ばすとキングに迫った。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!


 キングが魔石に変わってその魔石を飲み込んだ。


『レッドオーラが進化しました』


 意味がない、もう、レッドオーラは使えないんだ。

 く、もう、スタミナが残っていない!


『金棒が進化しました』


 金棒か、金棒を召喚するだけのスキル。

 今はスタミナが足りない。

 でも、何か、何でもいい、有利になる手があれば藁にもすがりたい!


 俺はグレートオーガの金棒を左手で持ったまま金棒を召喚した。


 俺は、金棒を振りかぶった。

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