第66話

 第二階層の矢の道にワープするとグレートオーガの雄たけびが反響する。


「「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」」


「「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」」


「「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」」


 金棒を握る腕に鳥肌が立った。

 突破されればアマミヤ先生とヒトミが殺される。

 砦を解除すればここに居るモンスターは山にワープするだろう。

 囲まれた状態で2人を守ることは出来ない。

 

 俺は4騎士に向かって走った。


 ビショップがバリアを展開する。

 矢で傷ついたグレートオーガを回復させる。

 ビショップが厄介だ。


「ビショップ!お前だけでもここで倒す!」


 ビショップに飛び込むとタンクが間に割り込んだ。

 タンクを避けて前に進もうとするとファイターが金棒で殴り掛かって来た。

 その攻撃を金棒で受けるとファイター事焼くように巨大な炎が飛んできた。

 マジシャンの炎が俺とファイターを焼いた。


 ビショップは炎を受けたファイターを癒し、タンクが大楯でタックルをするように俺に走って来る。

 タンクの大楯に金棒を食らわせるが、その隙にファイターが迫ってきて更に他のグレートオーガが迫って来た。


 うぜええええええええええええええ!

 キングに強化された四騎士がうぜえええええ!


「邪魔だああああ!」


 グレートオーガを瞬殺し、ファイターを攻撃するが金棒で吹き飛ばした瞬間にマジシャンの炎が飛んでくる。

 グレートオーガは1撃で倒せる!

 でも、4騎士、いや、キングに強化され統率された4騎士が厄介すぎる!

 矢は火力不足、元々矢は雑魚殺しに強みを持つ分強敵に対して効果は薄い。

 雑魚のグレートオーガにターゲットを移しても結局ビショップに対処される。


 俺は第三層階層への撤退を決めた。

 門のゴーレム、そして切り札を使う。


 4騎士が第三階層にワープした瞬間に俺は叫んだ。


「レッドオーラ!」


 門のゴーレムが攻撃する事で注意が逸れた。

 後ろから来るグレートオーガを倒しつつ、ビショップより護衛の少ないマジシャンに迫った。


 迫ってくるタンクを吹き飛ばし、ファイターを吹き飛ばし、ビショップの出す魔法の盾を壊しながらマジシャンを攻撃した。

 その間にも門のゴーレムが倒されていく。

 時間がない!


 

「おりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 グシャ!グシャ!グシャ!グシャ!グシャ!グシャ!グシャ!グシャ!


 ビショップがマジシャンを回復させる。

 タンクとファイター、雑魚のグレートオーガが俺を攻撃するが、すべて吹き飛ばして戦った。

 戦術なんてない。

 強引に力技でマジシャンを魔石に変えた。


 俺はマジシャンの魔石を空中でキャッチして飲み込みつつビショップに迫った。

 だが、奴が来た。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 

「キング!」


 キングが赤いオーラを放ちながら金棒を振り回した。

 キングはレッドオーラまで使ってくるのか!


 ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!


 金棒で打ち合うたびに部屋が揺れ、轟音を発する。

 大きな火花が何度も散って打ち合う。


 ファイターとタンクが包囲しようとしてきた為門のゴーレムを背にして打ち合いを続けた。

 それでも、キング・タンク・ファイターが俺を囲んで攻撃する。

 俺は角に追い込まれた。


 門のゴーレムがやられていく。

 レッドオーラが消える、時間がないがこのままでは1体も倒すことは出来ない!

 俺は撤退を決めた。


 魔法陣に乗って第四階層・闘技場にワープした。


「はあ、はあ、なん、だ?こない、の、か?」


 画面を見るとビショップがキングを、ファイターを、タンクを、雑魚すべてを回復させていた。

 俺はすかさず回復カードを取り出して傷を回復させた。

 更に傷んだグレートオーガの金棒を新品と持ち替えた。

 まだ、まだ来ないか。


 アイテムボックスからグレートオーガの魔石を取り出して飲み込む。

 ビショップが厄介だ。

 だがビショップは意地でも護衛がついている。

 ビショップがいる限り回復され続ける。


 どうする?どうすればいい!?

 俺は魔石を飲み込みながら決断した。

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