第29話

 確実にドロップ率が良くなっている。

 雑魚ゴブリンを倒すと2体に1個以上はドロップが出る。


 ゴブリンのナイフが沢山たまるが全部アイテムボックスに入れてある。

 魔石を食べ続けて分かった事は角付きの魔石を食べるとドロップ率が大きく上昇する事だ。


 魔石を食べるごとに能力値アップの上昇率は落ちていく。

 だが、それに反比例するように魔石をたくさん手に入れられるようになり、能力値が伸び悩むことは無い。


 ……レンとユイは更に高みにいるのだろう。

 後一カ月でハザマダイエットを始めてから1年になる。


 60キロまで痩せるダイエットすらこなせていない俺はまだまだだ。

 俺はまだ62キロで、いつもお腹が空いている。

 食べ物の夢をよく見る。

 後2キロが遠い。


 周りからはダイエットは必要ないと優しい言葉をかけて貰った。

 だが俺はまだまだだ。


 ……ペースを早めるか。

 たくさんのハザマを消滅させる。

 俺は毎日ハザマ狩りを続けた。



 ◇



「少し、無理をしすぎたか。疲れが溜まっているようだ。今日は次でラストにしよう」


 ハザマに入ると3本角に王冠を被り大剣を持ったゴブリンが現れた。

 偽キングか。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


「何、だ!声が異様にデカい」


 マイルームに逃げると100のゴブリンと一緒に攻めて来た。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 偽キングが叫んだ瞬間に雑魚ゴブリンが光をまとった。

 偽物なのに雑魚を操ってしかも強化出来るのか!

 まるでキングじゃないか!

 雑魚ゴブリンの移動速度が上がり、アロー2発を当てないと倒せない。


 待て待て待て待て!

 厄介すぎる!

 確実にここまで迫って来るだろう。


 あいつは厄介だ。

 先頭を走って突っ込んで来れば都合がいい。


 だが、偽キングは前に雑魚ゴブリンを先行させて後ろから迫って来る。

 いつもと様子が違う。

 偽4騎士のように突っ込んでくるモンスターとは明らかに違う。

 戦術を使ってくる!

 門を閉じたまま時間を稼ごう。

 アローは雑魚を狙って、テスラはキングをターゲットにする。


 雑魚ゴブリンの足が速いのと1発で倒せないのが厄介だ。

 このままだと大体……50体が強化状態でなだれ込んでくるだろう。


 ゴブリンが門を殴り始めた。

 あっという間に門が1つ壊された。

 次の門も時間の問題か。


「シャドーランサー!部屋に入った瞬間に戦闘開始だ!」


 俺は金棒を強く握る。

 偽キングからいつもとは違うプレッシャーを感じる。


 2つ目の門を突破された瞬間、


「ダブル!」

 

 アローとシャドーランサーが2体に増えて火力を増す。

 行け!一気に倒す!


 俺は金棒を振ってゴブリンを倒していく。

 シャドーランサーも並んでゴブリンを倒し死角からアローの攻撃が入る。


 シャドーランサーが1体やられた。

 だが、こっちもテスラの時間だ、いけ、テスラ!

 偽キングに雷撃を食らわせろ!


 偽キングの映像を見ると、床が魔法陣で光る瞬間に偽キングが後ろにステップを踏んだ。

 偽キングのいない空間に雷撃が発生する。

 避けられたのか!

 あの至近距離の一撃を!

 シャドーランサーが1体やられ、テスラは不発、ダブルの効果もじきに切れる。

 

 ダブルの効果が切れると雑魚が勢いに乗って攻めて来た。

 俺が倒す!

 俺が雑魚を全部倒して数を減らしてやる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 必死で金棒を振り雑魚ゴブリンを倒す。

 ダブルが切れた瞬間にまたダブルを発動させるがシャドーランサーは1体のままだ。

 こっちの戦力は低下している!


 ドスンドスンドスンドスン!

 偽キングが走って来た。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 偽キングが味方の雑魚ゴブリンを一緒に倒す勢いで斬りかかって来た。


 俺は金棒を振りかぶった。



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