第30話

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 偽キングは俺ではなくシャドーランサーに迫った。

 シャドーランサーの槍が弾かれ、3度攻撃を受けて消えた。


 一瞬でシャドーランサーがやられた!

 だが、俺も雑魚ゴブリンをすべて倒した!

 残すは偽キングだけだ!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 思いっきり振りかぶって金棒を横にスイングして攻撃すると偽キングは後ろの通路に下がった。


「く!威力をいなされた!」


 俺は通路を走って偽キングに迫る。

 横に狭い1メートルの空間で攻撃し合う。

 

 ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!


 大剣と金棒、お互いに動きにくく、制限された中で戦う。

 剣と金棒が火花を散らし、お互いに攻撃を当てる事が出来ない。

 負けているわけじゃない!


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

「なん、だ!?」


 偽キングの体全体が赤い光に覆われ、目が赤く光る。

 何のスキルだ!?


 偽キングが大剣を振りかぶって攻撃する。

 金棒の攻撃で返そうとするが完全に打ち負けて俺は後ろに吹き飛んだ。

 壁に激突する瞬間にマイルームを解除した。

 俺は後ろに飛びながらハザマの魔法陣に乗ってワープした。


「はあ、はあ、なんとか、逃げ切った」


 偽キングでも、俺より強いのか。

 特に赤い光をまとってからは危なかった。

 ……このハザマ以外すべてのハザマを消そう。

 全部消せるか分からない、無限に出てくるかもしれない、でも、そう言う気持ちでハザマを消そう。

 そして強くなってから再戦だ。


 俺は偽キングのハザマを隠して帰った。



 ◇


 

 毎日毎日ハザマを消した。

 ある日ゴウタさんのハザマ施設に行くと謝られた。


「フトシ、悪い、最近ゴブリンのハザマがみるみる消えててな、ここにあるハザマもぽつぽつと消えている」

「……そうなんですね」

「ここの施設は予約がすべて埋まってしまってな」

「ああ、いいですよ。その間に走り込みやらなにやらやってますね」

「すまん」


 ハザマ施設は行けない。

 でも、好都合か。

 山で毎日ゴブリンを倒せばいい。


 ぐう~~~~~~~


 お腹が鳴った。

 いつもお腹が減っている。

 力が出ない気がする。

 甘えるな!俺!


 俺はただ食べたいだけだ!

 魔石を食べて力は増している!

 まだ60キロになっていない!

 目標を忘れるな!

 毎日朝になると山に行きハザマを消し、放課後もハザマを消した。

 休みの日は山に行き毎日ハザマを消した。



 ◇



「あれ?もうハザマを出せない?」


 残るゴブリンのハザマは偽キングだけか。

 行くか?

 恐怖で手が震えた。

 出来る事はやって来た。

 恐れるな、恐怖を打ち消すために魔石を食べ続けてきたんだ。


 俺は、偽キングのハザマに入って行った。

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