第177話
【日本の総理視点】
今は有事、各国とネットでモンスター対策の世界会議が開かれていた。
今回も日本が批判を受けている。
『日本の被害は軽微なのだろう? なぜ他国を支援しない!』
「日本も余裕は無い。被害が軽微なわけがない、多くの日本人が犠牲になった」
『桃太郎の戦力が増えた。オオタフトシを我が国に渡してもらおう』
「桃太郎はそもそもそちらの国から誘導されて日本に来たのだ」
『何を証拠に言っている! 我が国に対する侮辱だ!』
「しかし、あの戦闘機は」
『戦闘機はテロリストに奪われたのだ!』
「そのような嘘は」
『決めつけるのも侮辱だ!』
『とにかく、日本の被害は少ない。フトシオオタを神殿のハザマに向かわせるべきだ!』
『その通りだ!』
『日本だけが協力関係を軽視している』
私は、批判を受け続けた。
◇
『日本は島国だ。世界の存亡を考えれば、日本が先に、神殿のハザマにアタックを仕掛けるべきだ』
「それは日本を実験台にするのと同じだ」
『日本だけが足並みを揃えていない』
「日本は様々な発展途上国に多くの支援を」
『今は冒険者の協力についての話をしている』
私は、批判を受け続けた。
◇
私は、ブチ切れた。
「いい加減にしろ! 日本人の命を何だと思っている! こんな会議からは脱退させてもらう!」
私はモニターを思いっきり殴りつけた。
手に血が流れる。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「総理! こんなことをしては国際関係に亀裂が生じます!」
「構わん! 世界は、日本を実験台にしようとしている! 日本が実験台になっている隙に対策を練るつもりなのだ!」
日本は敗戦国だ。
だが、ハザマが現れてから多くの戦争が終わり、世界の軍事力は冒険者の質に左右されるようになった。
強い冒険者はミサイルでも核兵器でも殺せない。
魔法をおびた武器が必要になり錬金術が科学と融合するように発展した。
アメリカに防衛システムを握られ植民地となっていたが、もう関係ない!
返って来る事も無い他国の債権を買い続ける必要もない!
隣国に譲歩し続ける必要もない!
ハザマのモンスター、魔石エネルギーさえあれば日本はやって行ける!
「早急に決断します! 会議の準備を!」
会議の準備が行われ、次の日、会議が開かれた。
「支持率が18%上昇しました。総理が激怒して会議から脱退したのが好感されています」
検討を重ねてきた私が、決断をした瞬間に支持率が上がった?
この国は決断をした者を責める、何もしない方が支持率が高くなる。
ああ、そうか、私は、国民を下に見ていたのか。
愚かでない国民もいる、それが数字となって現れた。
私の首をかけて、やりたかったことをやろう。
私の想いを国民に伝える。
日本は日本だけでやって行けると!
その後、批判だけの野党とマスコミはバッシングを受け、下がりに下がっていた総理の支持率は47ポイントも上昇した。
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