第23話

「身長172センチ、体重77キロ、もう充分ダイエットには成功したな」

「いえ、まだ目標は達成していません。空腹なのと喉が渇いているのでいつもはもっと重いですよ」


「この傷はゴブリンにやられたのか?」

「はい」

「ゴブリンに刺された割には傷が浅い、まるで能力値が高い上の冒険者のようだ。時間が経てばきれいに治ると思うが今日は家まで送っていく。流石に歩いて帰らせるわけにはいかない」


 こうして俺は家に帰った。

 アマミヤ先生にお礼を言って先生がいなくなると早速動き出す。


 クイーンの魔石を食べて手に入れたスキルが気になるのだ。


『ゴブリンのハザマ』


 俺の感覚通りのスキルなら今後のハザマダイエットは加速する。

 だが、使ってみないと分からない。


 俺は近くの山に向かった。


 周りに人がいない事を確認するとスキルを使う。


「ゴブリンのハザマ!」


 目の前にゴブリンのハザマが出現した。


 俺はハザマに入る。

 ゴブリンが6体か。


 いつも通りマイルームにゴブリンを誘い込んで倒すとマイルームを消した。


 そしてボスのいる拠点に乗り込んだ。


 蛮族の野営地のような木で出来た門を金棒で破壊して中にいる1本角のついたゴブリンに迫った。


「おりゃあああああ!」


 グッシャ!

 倒すと魔石がドロップした。


 角付きゴブリンは魔石のドロップ率が高い。

 そして角付きの魔石の方が能力値が多く上がる。


 特に偽クイーンの魔石を飲み込んだ時は能力値が大きく上がったのを感じた。

 そしてボスを倒すと徐々にハザマが消えて現実世界に戻ってこれる。

 つまり、バレずにボスを倒し続ける事が出来る。


 今まで雑魚だけを倒していてすっきりしなかった。 

 でも、偽クイーンを倒した時、やり切った感があった。

 ゲームでボスを倒さないで引き返してくるって普通はありえないよな。

 最後のボスを倒してそこで終わりがしっくりくる。

 そしてボスは魔石を落としやすい。

 俺は何度もハザマを出現させてボスを倒してハザマを消していった。


 ゴブリンのハザマを出す→全部倒す→魔石を回収して戻って来る→ゴブリンのハザマを出して何度も繰り返す。

 

 これで行く、でもハザマ施設に行ってないのに強くなっていると、俺が何をしているかバレる。

 バレると面倒だ、バレないように動こう。


 朝はゴウタさんの初級ハザマでゴブリンを狩った。

 そして放課後は山に走り隠れてゴブリンの魔石を食べる!

 


 俺は毎日ハザマ狩りを続けた。

 小学生の頃、ダンスにハマっていた時のように俺は時を忘れてゴブリンを倒した。


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