第138話

 俺とスズメさんはハザマ施設に向かった。


「中級、ゴーレムのハザマにする」

「上級のグレートゴーレムじゃなくてですか? 俺の事なら気にしなくても、朝までなら戦えますよ」


「そう、良かった、でも中級のゴーレム」

「分かりました」


 ハザマに入るとスズメさんが走り蹴りでゴーレムを全滅させた。


「ここはダメ」

「ん?」

「次に行く」

「分かりました」


 スズメさんはゴーレムのハザマに入ってモンスターを倒した後すぐに次のハザマに入るのを繰り返した。


「ダメ」


「おしい」


「全然ダメ」


「ダメすぎる」


「ここ、ここにする」


「なにか、あるんですか?」

「ある、ハザマの影にあるあの岩に移動して」

「はい」

「服を脱いで」

「ん?」


「意味が分からないです」

「そう、私が悪かった」


 スズメさんはYシャツを脱ぎ、スカートを脱ぎ、下着を脱いで足のバトルブーツだけの状態になった。


「ここなら、デキる」

「い、いや、それは、ちょっと」

「今日は、大丈夫な日だから」

「こういう意味だったんですか? でも、これはさすがにまずいですって」


「フトシの、下は元気」


 俺はスズメさんに追い詰められて壁ドンをされ逃げ場を塞がれた。


「ちょっと、そこは!」

「下は元気」

「スズメ、さん」

「もっと元気」

「はあ、はあ、俺、高校生で、もう、我慢、出来ません」

「いいよ、来て」


 そういいつつスズメさんが、俺に乗ってバウンドした。

 これが、チュンチュンジャンプか!



 ◇



「はあ、はあ、ゴーレムが、ポップしました。俺が、倒します」


 バキャ!


 スズメさんはバトルブーツでゴーレムを蹴り倒した。


「はあ、はあ、私が、上だから、私が、はあ、はあ、倒す……でも、次は」


 スズメさんが後ろを向いて岩に両手をついた。



 ◇



 魔法陣が光った!

 誰か来た!

 俺はとっさに後ろからスズメさんに抱き着いて口を塞いだ。


「ふー! ふー! ふー!」

「はあ、はあ……」


 女性3人のパーティーだ。


「モンスターいないね。次行こ次」

「なんか、ここ空気が違うってゆうか、いつもとちがくない?」

「何が違うのよ?」

「うーん、うまく言えないけど」


「あの大岩は珍しいわね」

「行ってみる?」


 まずい! 

 来られたらまずい!


「ふー! ふー! ふー!」

「はあ、はあ……」


「岩があるから変に感じたんだよ。すぐ出よう」

「そうだね」


 3人は魔法陣から出た。


「スズメさん、もう出ましょう」

「……分かった」


 2人でハザマを出てすぐの部屋に向かった。


 シャワー・トイレ・着替え置き場がある4畳ほどの多目的ルーム。

 個室が並び防音性能が高そうだ。


「この時間のここはヤリ部屋、スタッフは知っていて知らないふりをする。いつもきれい」

「……え?」

「暗黙の了解、冒険者も、知っていて知らないふりをする」


 2人でシャワー室に入った。



 ◇



「ちょ、ちょっと、もう5時ですよ。もう無理ですって!」

「うん、でも、まだ半分しか経っていない」

「もうさすがにバレます」

「私の部屋なら大丈夫」


 俺は唐揚げおにぎりとチキンサンド、そしてお茶を4本買ってスズメさんの部屋に向かった。



 ◇



 時刻は11時ジャスト、スズメさんはベッドの上で眠る。


 ゴミ箱には唐揚げおにぎりとチキンサンドの包装容器、そして4本のペットボトルが空になって無造作に詰められている。


 ベッドの下には服が散乱している。


 外からチュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえた。


 俺は、自分を押さえる事が出来なかった。


 熱くなったスズメさんの体を冷ますようにクーラーの温度を下げた。


 スズメさんにシーツをかけて部屋を出た。

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