第18話
夏休み中俺は毎日朝と午後にゴブリンのハザマでゴブリンを狩った。
最初は数が少ないハザマから入り、消耗していない状態で長く戦えるよう工夫した。
ゴブリンの数が多い時は門を開けて俺とシャドーランサーで最後の部屋に誘い込んで戦い、疲れると門やシャドーランサーに任せて長く戦えるように工夫した。
ゴブリンの魔石とゴブリンナイフが何度もドロップした。
ゴブリンナイフは魔石以上に安い為アイテムボックスに入れて貯めてある。
魔石はすべて食べて力を高めていった。
夏休みが終わると、朝はゴウタさんのハザマ施設に走ってゴブリンを狩る。
その後学校まで走り夏休み明けの学校に向かった。
少し遅めに教室に入るとみんなが一斉に俺を見たが気にせず挨拶をした。
「おはよう」
「え?だれ?」
「どちら様ですか?」
「クラス間違えてない?」
「夏休み明けだからね」
「でも、見た事無い人だよ?」
「転校生かな?」
女子生徒が知らないふりをする。
「酷い!それは酷い!オオタフトシだって!そう言ういじり方は良くない」
「「ええええええええ!」」
クラスのみんなが集まって来る。
「顔つきが全然違う!」
「お前、別人じゃないよな?」
「イケメンじゃね?」
「その清潔感のある髪型はなんだ!」
「お前は俺達の仲間じゃなかったのかよ!」
「そう言ういじりはもういいから」
「冗談じゃなくて、何キロ痩せた?」
「最初は130キロで、今は78キロ」
俺はまだまだだ。
目標60キロに対して78キロ、まだ足りないのだ。
「「おおおおおおおお!」」
「胸板が凄くね?」
「冒険者の体だね」
「カッコよくなったよ」
ガラガラガラガラ!
「ほら!席に着け!ホームルームを始める!早く席に着け!」
アマミヤ先生が入って来た。
全員が席に着くと先生はニコッと笑った。
「全員出席、けが人もモンスターの犠牲者も無しか。先生嬉しいぞ。だがな、夏休みが終わって慣れて来た頃に死亡率がまた上がる!何度でも言うぞ!ハザマに入って少しでも嫌な予感がしたらすぐに逃げろ!いつもと違うと思えばすぐに逃げて先生に教えてくれ!何も無かったとして気のせいならそれで構わない!」
先生はワザと死亡率の言葉を出している。
ハザマでのモンスター狩りをあきらめた生徒もいる。
そういう生徒は普通科扱いとして卒業まではこの学校に通える。
「ホームルームはこれで終わりだ。今日最初の授業はモンスターの講義だ。気を引き締めて受けるように、以上だ」
こうしてホームルームが終わった。
ユイが話しかけてくる。
「フトシ、大分雰囲気が変わったね」
ユイがまた大人っぽくなった気がする。
俺も頑張らないとな。
「まだまだだ。ダイエットすら終わっていないからな」
「もう充分じゃない?背が伸びたよね?」
ユイは優しい。
俺に対して甘く見てくれているんだろう。
背が伸びたから体重が重くても良い、そこから甘えが始まる。
周りのクラスメートも声をかけて来た。
「フトシ、最近凄味が出て来たな」
「死にかけたか?」
「いや、全然、毎日朝と夕方の2回ゴブリンのハザマでぬるく狩りをしているだけだ」
「俺はさあ、モンスター狩りをギブアップしたんだ」
「続けてるだけですげーよ!」
「俺はベビーガーゴイルかリトルスケルトンのハザマだけど、朝も放課後も毎日行く事は無いぞ」
「俺は週に3日だけハザマに行ってる。毎日は戦えないんだ」
「俺は週1から2回だ」
「つーかユイと、隣のクラスのレンは別格だ。普通はハザマに入るのをやめるか休みを挟みながらモンスターを狩っている。みんなそうなんだ」
ガラガラガラガラ!
「ほら!席に着け!授業を始める!」
みんなが席に着くと授業が始まった。
ホームルームでも思っていた、アマミヤ先生はやっぱり美人だな。
ユイとどっちが美人だろう?
ユイと先生を交互に見る。
「今日はモンスターのクラスについて話をする。各モンスターにはキング、クイーン、そして4騎士がいる。これらはボスを超える力を持っている」
う~む、甲乙つけがたい。
「休み明けでぼーっとしているオオタ、ボス・キング・クイーン・4騎士の特徴と見分け方を答えて見ろ」
「ふぁ!はい!」
びっくりした!
先生に見とれてたなんて言えない。
クラスから笑い声が聞こえる。
「見分け方は角で判断します。ボスは1本角で、4騎士は2本角、キングとクイーンは3本角です」
「うむ、次は各クラスの特徴を答えてくれ」
「ボスは主に拠点を守っていて雑魚の上位互換の力を持っています。次に4騎士のビショップはバリアや回復の力を持ちます。タンクは防御に優れます。ファイターは近接戦闘に優れていて、マジシャンは魔法攻撃に優れています」
「キングは同族の使役能力と強化能力を持ち、各クラスで最強の戦闘能力を持ちます。クイーンは戦闘能力は強くないものの、同族を召喚か生み出す能力を持っていると言われていて、まだどちらなのか分かっていません」
「100点満点だ」
「「おおおおおおおおお!」」
魔石を飲み込むうちに記憶力も良くなっていた。
能力値のアップは勉強の効率も上がる。
そこまで勉強をしたわけじゃないが教科書や資料を1回見るだけで勉強は終わった。
「角付きを見たら逃げろ!ゴブリンの角付きでもだ!戦闘力が弱いクイーンにも近づくな。クイーンが出て来た時点で100のゴブリンに包囲されると思っていい!モンスターに包囲される脅威は分かるな!?しかもモンスターを倒せてもまたすぐに次のモンスターが現れる!2本以上の角付きが出たらすべて逃げろ!絶対にだ!」
大事な事なんだろうな。
俺如きが強いモンスターと戦おうとは思わない。
俺は確実に逃げる。
逃げるのは得意なんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。