第17話
【紬剛太視点】
ハザマに入るとゴブリンが35体、ガーゴイル1体、スケルトン1体、思ったより多いな。
「マイルーム!」
「ん?部屋を狭くしたままなのか?」
「はい、さすがに回廊陣が短いと危ないので」
前のフトシなら絶対に快適空間を維持しただろう。
明らかに変わった。
戦う為に色々と無駄を削ぎ落している。
その姿勢が体重になって現れたか。
フトシが出したモンスターの映像を見ると、アロー1発でガーゴイルとゴブリンが倒れていった。
「1撃か」
「はい、魔石を食べたおかげでアローが強くなりました。ゴブリン30体までなら門部屋の前にたどり着く頃に倒せます」
「シャドーランサーが戦う敵はスケルトン1体とゴブリン数体だけになるか」
「そうなります」
回廊陣を進むゴブリンが先頭から順にやられていく。
ゴブリンが門の前にいるシャドーランサーの前に立つがアローとシャドーランサーの同時攻撃により一瞬でやられていった。
「部屋の前まで来てもアローとシャドーランサーが瞬殺するか。門を叩く暇さえ与えない」
遅れて歩いて来たスケルトンはアローで倒された。
「終わりです。出ましょう」
「アローは後何発撃てる?」
「何発でも撃てます。消費が無いので」
「はあ?チートじゃねえか」
「そう言えばアマミヤ先生も継続戦闘能力が高いと言ってました」
「……次はもっと上に行ってみないか?俺が付き添う」
「お願いします」
「決まりだな」
ハザマを出て、更に光度の高いゴブリンのハザマに向かった。
「ゴブリンが100くらいか?」
「100体なら70体は門の前まで来ますね」
「この部屋の前に門が2つ、その前にシャドーランサーが居て守っている。多分、いけるだろ」
「はい、戦ってみます。シャドーランサーがどのくらい持つか試したいです」
「思うようにやってみろ」
「はい!」
ゴブリンがマイルームを進み、アローで倒しきれない60体以上がシャドーランサーに迫って来た。
シャドーランサーは門を背にして戦うが、ゴブリンから攻撃を受け、ダメージを受けていく。
「シャドーランサーとアローの同時攻撃でもシャドーランサーは消耗するか」
「そうみたいです。でも、シャドーランサーは前より強くなったのでしばらくは持つと思います」
ゴブリンの数が減っていくが、シャドーランサーもダメージを受け、消耗戦に突入した。
ゴブリンを後一歩で全滅させられるという所でシャドーランサーが消えた。
「あ、やられた」
ゴブリンが門を攻撃し始めた所でやっとアローが最後の1体を倒した。
「さすがに100体になると楽には勝てないか」
「次に行きましょう。今度は門の強さをチェックしたいです」
「分かった」
次もゴブリンが100ほどいるハザマに入った。
次はシャドーランサーがいない。
戦いは苦しくなるだろう。
ゴブリンが回廊陣とアローで数を減らしながらも門に到達して3体が並んで門を攻撃する。
1つめの門を突破され、2つ目の門が攻撃されたところでゴブリンが全滅した。
「フトシ、門とシャドーランサーの強さは体感出来たか?」
「はい、ありがとうございます」
ゴブリンのハザマならどこに入っても問題無い、と言いたいところだが、突発的なトラブルの可能性はある。
もし、フトシがゴブリンに囲まれた場合の戦闘力を見極めたい。
「最後はフトシの強さを知りたい。もし、戦えるならソロで、ゴブリンのハザマすべてに自由に入っていい」
「……やります」
「おお!そうかそうか!よし!行くぞ!」
今までのフトシなら戦わなかっただろう。
だが、今はやる気を見せている。
次はゴブリンが80体ほどのハザマに入った。
フトシが緊張した顔で金棒を握り締める。
アローで倒しきれない分のゴブリンが最後の部屋に迫り、フトシを取り囲もうとする。
だが、
フトシは腰を落として金棒を横にスイングした。
グッシャア!!
1振りで4体のゴブリンが一瞬で霧に変わった。
フトシは腰を落としたまま左右に金棒を振り回しゴブリンを惨殺していった。
横からナイフで攻撃を受けてもひるまず、近づくゴブリンはすべて1撃で倒していった。
召喚系のスキルは直接戦闘に向いていない。
だがそれでもなお余裕でモンスターを倒している。
緊張の為か動きが硬いが、緊張が無くなれば更に余裕になるだろう。
「はあ、はあ、俺、思ったより戦えるみたいです」
「そうだな。これなら逃げる必要も無いだろう。また魔石だ。おめでとう」
「ありがとうございます!」
「フトシ、今日から光度に関係なく、ゴブリンのハザマならどこに入ってもいいぞ」
「はい!」
「だがな、もし、少しでもおかしいと思えばすぐに逃げろ。生きている限り何度でもチャレンジできるんだ」
「分かりました!」
マイルームのスキル。
雑魚相手に対しては圧倒的な能力だ。
フトシ、こいつは逸材かもしれない。
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