第171話

 レイカさんと車で移動する。


「近くにカマキリがいるわ」

「行ってきます」


 現場に向かうと魔法銃を持った冒険者がカマキリ3体の前で震えていた。


「くそ!、弾が、弾さえあれば!」


 グシャ!


 金棒でカマキリ3体を倒した。


「お疲れ様です。魔石は貰ってもいいですか?」

「あ、ああ、お前が倒したんだ、あ、ありがとな。あ、なあ、銃の弾を持って無いか?」


「いえ、持っていません」

「そ、そうか」


 俺はレイカさんの車に戻った。


 レギオンの黒っぽい魔石を飲み込む。


「フトシ君、体調は悪くない? 大丈夫?」

「え?」

「黒い魔石は食べても大丈夫なの? まだ研究が終わってないのよ」

「大丈夫です。多分、しばらく研究は終わらないですよ」


「大丈夫ならいいけど」

「それより、魔法銃の弾が無くなってますね」

「そうね、ヒトミちゃんに作って貰っているけど、全然間に合わないわ……次はイナゴをお願いね」

「はい!」


 イナゴの出現地点に向かうと、イナゴが逃げようとする。

 モンスター=人を見た瞬間殺しに来る。

 イナゴだけが特殊だ。

 いや、他の目的があるのか?


 逃げるイナゴを金棒で倒してレイカさんの所に戻る。



「イナゴだけ、人を見ても襲ってこない事がありますね」


 モンスターは人を見たら即殺しに来るのが普通だ。

 だが、あいつらは襲ってくる場合と来ない場合がある。

 その行動に違和感を感じた。


 そういった理由もあり、イナゴは後回しにされているが神殿は早くイナゴを倒すように言っている。

 でも、実際はアリやハチ、カマキリの討伐で後回しになっている。


「そうね、フトシ君、この映像を見て欲しいわ」


 外国の映像で、急に魔法陣が出現してそこからアリが7体出て来た。

 そして魔法陣が消えた。


「神殿の言った通りになったわ、そしてこの映像を見て」


 100体ほどのハチがビルの横に集まると、そこにハチの巣ダンジョンが一瞬で出来た。


「100体、同種のレギオンが集まるとダンジョンが出来る、これも神殿の言う通りね。そして神殿はイナゴを倒すように言っているわ」

「イナゴを放置するとどうなるか聞いたんですかね?」


「ええ、イナゴは魔石を食べて進化するそうよ。完全に手が足りなくて、イナゴに対処できていないわ」


 今被害が出ているのはアリとハチだ。

 被害が出た人は「アリとハチを何とかしろ」しか言わないだろう。

 で、政府も人が死んでいるのを無視できないから結果イナゴは後回しになる。


「魔法銃の弾が足りなくて、冒険者が足りなくて、イナゴに対処できていない、ヤバいですね……一旦、ヒトミに魔石を渡しに行こうかな。ヒトミには魔石を食べて強くなってもらわないと弾がずっと足りない」


 多分、1人の生産力が上がった程度で今の状況は完全には好転しない。

 でも、やらないよりはやった方が良い


「そうね、それがいいと思うわ」


 レイカさんが電話に出た。


「……分かりました」

「どう、しました?」

「亜人の王が、日本にやって来るわ」

「このタイミングで!? すぐに向かいます」

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