第147話

 次の日の朝になるとレイカさんがマイクロバスでやって来た。


「行くのはいいんですけど、学校は休んで大丈夫ですかね?」

「今は有事だから大丈夫よ」

「そんなにヤバいんですか? みんなで結構ハザマを狩ってましたよね?」


「まだ大丈夫よ、でも、危なくなる前に連絡するのがハザマ運営の鉄則よ」

「分かりました」

「私も行きます!」


 ヒトミが手を挙げた。


「今回はフトシ君といのりだけの予定だったのよ」

「そ、そんな!」

「いや、ヒトミはもうすぐ上級錬金術師になります。連れて行きましょう」

「そうです! 私は役に立ちますよ!」


「分かったわ」

「それと、他にも連れて行きましょう」

「レンパーティーとユイちゃんね?」

「ですです」


「分かりました。レンパーティーとフトシパーティーに要請を出します」


 レイカさんは学校に向かいレンパーティーを乗せつつサードプレイスを目指した。




【サードプレイス】


 施設に入るとガランとしていた。


「人がいませんね」

「今ドリーム1に人を取られて経営が苦しいのよ。サードプレイス4回目の危機ね」

「ドリーム1のキャンペーンが終われば人が戻ってこないですかね?」

「その前に潰れてしまう可能性もあるわ」

「有事なのは経営の方なんじゃない?」

「ユイちゃん、流石ね。モンスター省としてはここを潰す予定は無いわ。有事なのはあくまで口実よ。この大型ハザマ施設が潰れると、政府的に色々問題が出てくるわ」

「レイカ、ハザマのモンスター狩りは建前よね? フトシ君に客寄せパンダをやらせたいのよね?」

「そうなるわね。色々大人の都合があるのよ。ドキュメンタリー動画を撮りたいわ」

「レイカさんの意思が入った時点でドキュメンタリーじゃない気がする」


「フトシ君、ドリーム1のような悪質な切り取り方はしないわ。安心して」


 俺達はバイキングに案内された。

 そして社員一同が整列する。


「我らの社運がかかっております。どうか、よろしくお願いします」


 全員が綺麗に礼をした。

 圧が凄い。

 みんなからの圧が凄すぎる!


「うわあああ! やりにくい! こんなやりずらい会議ってある!?」

「気にしないでください。ネタですので」


 レイカさんは笑顔で冗談っぽく言っているが社員のみんなを見ると目がマジだ。


 こうしてサードプレイスの幹部が後ろに控えたまま会議が始まった。


「俺からいいか?」

「フトシ君どうぞ」

「経営がやばいなら、ゴウタさんとゼンさんを呼んでみないか? うまくいくかもわからないけど、経営はプロに任せるのが一番だ」

「いいと思います。フトシ君、早速連絡してみましょう」


「今!?」

「今やってください。配信ではないので後で編集できます。時間は気にせず行きましょう」

「分かりました。もしもし、ゴウタさん、実は……」


 事情を説明すると後ろに控えていたオーナーが電話を替わりすぐにゴウタさんが来てくれることになった。

 更にゼンさんも同じように来てくれることになった。

 そしてゼンさんはすぐにここに来た。


「フトシ君、呼んでくれてありがとう! 我らフトシ四天王は一丸となって協力させてもらう!」

「ええええ! その設定まだ続いてたんですか!?」


 こうして会議は順調に進んだ。


 そして数日後にイベントが開催された。

 俺は会場を見学する。


 レンとシンさんは人工ビーチで握手会を行う。


 ヒトミは回復カードをたくさん作り、一般のお客さんにも1枚限定で販売した事で老人のお客さんが増えた。


 レイカさんは配信で宣伝をし、いのりはきゅうのふれあい会を開催し、ハヤテさんはBL本の即売会を行った。


 俺とユイだけで会場を眺めた。

 ゴウタさんとゼンさんは細かいサービス変更を行い、出来るだけお金をかけず出来る改善を進めた。


「うまくいったな」

「フトシは握手会に出ないの?」

「俺はいいんだ、それを言うならユイも握手会を出来ただろ?」


「私は、いいよ」

「俺もいいや」


 2人で笑い合う。


「ねえ、フトシ、たまには2人だけで休もうよ」

「……そうだな」


 2人で部屋に行き、休んだ。



 ◇



 目が覚めるとユイが隣で寝息を立てている。


 部屋を出てレイカさんの配信を確認するとレンが新しいスキルを覚えていた。


『ブルーサンダー!』


 レンの体と剣が青く光り、グレートゴーレムを高速で斬りつける。

 雷神より速い!


 俺は配信後にアップされた動画を確認した。


 雷神がブルーサンダーに進化した!


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