第27話
【朝5時・初級ハザマ施設】
俺はドロップ率の検証を開始した。
ゴブリンの討伐数とドロップ率を調べる。
たくさん倒さないとブレが出る。
まずはサクッと1000体倒そう!
◇
「おし!丁度雑魚を1000体倒した!えーと」
ゴブリンのナイフと魔石を合わせて、ドロップが130個だから、13%!?
いやいや、おかしいおかしい!
良すぎるだろ!
スマホを取り出して計算する、俺の計算が間違っているのか?
やっぱり13%だ。
ドロップ率は13%か。
この魔石を全部食べればとんでもなく強く、「あ!遅刻だ!」
スマホの時間を見ると遅刻確定だった。
俺は走って学校に向かった。
◇
アマミヤ先生に注意を受けた後、授業に参加した。
ビショップの授業か。
「各モンスターに存在する4騎士、その中でビショップは防に優れている。格下が挑んだ場合、倒す手段はほぼない」
生徒が手を挙げた。
「先生、キングの方が強いんじゃないですか?」
「その通りだ。3本角のキングとクイーンが格上だ。その下に2本角の4騎士がいる。だが、特定の状況下でビショップはかなり厄介な存在だ。倒そうとしても回復され続ける。取り巻きの雑魚を倒そうとしてもバリアや盾で防がれる。気づいた時にはモンスターに包囲されて終わる」
「言いたいことは分かるな?何度も言うが角付きを見たら逃げて即報告だ。角付きと戦ってはいけない!」
ビショップか、RPGのボスで自分を回復させてくるタイプは厄介だよな。
ま、俺には関係ないか。
今は雑魚の、しかも最弱のゴブリンを狩るのみ!
俺には影響のない話だ。
◇
放課後になると山まで走り、ハザマを出して乗り込んだ。
いつものようにマイルームにゴブリンを呼び寄せるが角が2本、両手に2本の杖を持ったゴブリンがいた。
ビショップ、な、わけが無いか。
あいつは偽ビショップだろう。
もしあいつがビショップならもっと素早いだろうし俺はとっくに死んでいるだろう。
ゴブリンと一緒に偽ビショップが入ってきた。
ゴブリンがアローの攻撃を受けて倒れる。
いつもと何も変わらない。
その時ビショップが杖を振った。
その瞬間に魔法が展開され、アローの攻撃1発でゴブリンを仕留めきれなくなった。
バリアフィールドか!
更にビショップは反対側の杖を振った。
ゴブリンが受けた傷が治っていく。
「バリアと回復の二刀流か!」
まずいまずいまずい!
アローを潰された!
このままだとゴブリンの数を減らせないまま最後の部屋になだれ込んでくる!
しかも、偽クイーンは何度でもゴブリンを増やしていて魔力消費が無いように見えた。
偽ビショップに魔力切れはあるのか?
……無い、もしくは100発1000発と使える。
そう考えて動いた方が良いだろう。
最期の部屋までおびき寄せてダブルを使って一気に畳みかけるか?
いやそれで倒せない場合包囲される?
いや、でも、やってみないと分からない。
駄目なら全力で逃げる。
画面を確認すると偽クイーンの時のようにハザマの魔法陣を包囲する様子はない。
逃げ切れる。
偽ビショップとゴブリンが最後の部屋に来るまでシャドーランサーと俺で待ち構えた。
「ダブル!」
シャドーランサーとアローが2つに増えた。
俺はあえて攻撃対象を分散させて攻撃した。
ゴブリンを倒せる!
行ける!
今の内に偽ビショップを倒し、なん、だと!
偽ビショップが部屋に入ってこない。
雑魚を先行させるのみで前に出ない。
行動パターンが雑魚と明らかに違う!
ゴブリンを減らしてから偽ビショップに向かって走った。
だがその瞬間に偽ビショップはバリアと回復を解除して通路を覆うように魔法の盾を連続で作った。
そして後ろに下がりながら笑う。
「ふっざけんな!」
俺は何度も盾を攻撃して破壊しながら前に進むが、偽ビショップは全力で逃げ出した。
「な!戦え!俺と戦え!」
偽ビショップは雑魚ゴブリンをおとりにしつつ通路に魔法の盾を何度も作ってマイルームの外に逃げ出した。
そして拠点に入って出てこない。
30分待ってみたが一向に出てこない。
「失敗した」
油断させて部屋に誘い込み、偽ビショップが逃げようとした瞬間に門を閉めて閉じ込めれば勝てたかもしれない。
マイルームから出れば俺の戦闘力は下がる。
アローとシャドーランサーを使えないまま偽ビショップを倒せるのか?
1人で突撃すれば、殺されるかもしれない。
1人で戦うには偽ビショップの能力は厄介すぎる。
偽ビショップに飛び込もうとすれば魔法の盾で妨害され、ゴブリンを倒そうとすればバリアと回復で潰される。
そうして時間を稼がれて包囲される。
ゴブリン1体だけなら弱い、だが包囲されれば危険度は跳ね上がる。
包囲され続け、モンスターの数を中々減らせないままの消耗戦……嫌な予感しかしない。
アマミヤ先生の言葉を思い出した。
『ビショップは防に優れている。格下が挑んだ場合、倒す手段はない』
偽ビショップすら倒せないようではまだまだだ。
俺の能力値不足か。
魔法の盾を1撃で破壊する圧倒的な火力で一気に攻撃出来れば……
いや、今はその手が無い、力不足か。
偽ビショップのハザマは放置だ。
他のハザマで魔石を食いまくる。
攻撃力を上げて再戦だ。
ハザマを出ると偽ビショップのハザマを隠した。
俺は毎日新しいハザマを消して過ごした。
偽ビショップに挑めないまま、年が、変わろうとしていた。
あとがき
今日の連続投稿3発目!
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