第103話
【政府与党会議室・総理視点】
「総理、武具やアイテム不足で特級冒険者が撤退した事で国民から多くの批判が出ています」
私は肘をテーブルについて組んだ両手に額を乗せて考える。
「君、そもそも国民からの医療費削減の声に応じて回復カードを優先して作る政策を打ち出したのだ。国民の手のひら返しを真に受けすぎではないかね!」
私は黙って会議を聞き、検討に検討を重ね、更に検討した。
「しかし民意は民意です。今は特級冒険者の武具と、アイテム作成が急務かと」
「それにだよ! 国民の民意をくみ取って初級冒険者の育成を促進する為入門用の武具を安く供給する支援策を打ち出した。それが巡り巡って、特級冒険者の負担になっているのだ!」
「確かにそういう経緯はあります! ですが今は状況が変わったのです! 今は残った2つのダンジョンを消滅させない限り支持率は下がり続けるのは目に見えています!」
「そうだ! 国民の目に見える形で、装備やアイテムの作成を打ち出すべきだ! アシュラは武器の消耗が特に激しい、武具のストックは多く持たせるべきだろう!」
「具体的にどうするかの案を出しましょう。私は、上級錬金術師に要請を出して、一刻も早く武具を揃え、中級錬金術師には回復カードと耐久力回復のカードを作ってもらうよう要請するべきかと思います!」
私は口を開いた。
「検討が終わりました。高校在学を除く、中級以上の錬金術師に要請を出し、錬金合宿を行ってもらい、異次元の特級冒険者支援を打ち出します!」
こうして、ビルに錬金術師が集まり合宿が行われた。
【テロリスト・キヤマリュウタ視点】
「ここが錬金術師の集まるビルか」
日本は狂っている。
冒険者は体を張っている。
なのに錬金術師はどうだ?
後ろの安全地帯からアイテムを作って冒険者から巻き上げている。
後ろからのうのうと金を稼ぎやがって!
冒険者が血だらけで死にかけて撤退すればするほどお前らは大儲けかよ!
俺が政治家になれればこんな国はすぐに変えてやるのに!
なぜ俺が政治家になれないんだ!
中途半端に冒険者や錬金術師を大人扱いしているがちぐはぐだらけだ。
15才から大人だと言いつつ政治家にはなれないのはおかしい!
日本の制度改革は遅すぎる!
議員も議員で質が悪すぎる。
ボケた老人は政治家になれる、でも将来を担う若者は封印されている。
現役世代は仕事で選挙に行けない、そんな余裕は無い。
期日前投票で権利を保障したように見せかけて現役世代には選挙に行って欲しくないのが透けて見える。
ネット選挙を導入すれば簡単に解決できる、老人議員が有利な環境を壊したくないからネット選挙を導入しないだけだ。
老人が支配した結果弱った国、それが今の日本だ。
若者から税金を搾り取って老人に分配し続け若者を弱らせる。
それがクズ議員のやり方だ。
錬金術師も政治家も許せない。
思い知らせてやる。
俺は正面から堂々とビルの中に進んでいく。
「待て、ここは立ち入り禁止だ」
「おい!聞いているのか!」
「はあ、うざい。イフリート、殺せ!」
炎で出来た人型が警備員を焼いていく。
「ぎゃああああああああああ!」
次は、そうだそうだ。
「イフリート、避難用の階段を焼き溶かせ。エレベータも壊せ」
イフリートが外に出て避難用の階段を熱で溶かしてエレベータを故障させた。
「炎のカード」
カードを何枚も出してペタペタと壁に張っていく。
上に上がり、カードを張っていった。
警備の反応が遅い、最初の警備を殺したら上まで素通り出来る。
この国はやはりダメだ。
ビルから出て指をパチン鳴らすとビルから炎が上がった。
「はははははははは!イフリート!下から順にビルにいる人間を殺せ!お前の大好きな炎の空間だ!はははははははははははははは!俺が浄化してやるよ!」
この日数多くの錬金術師が犠牲となった。
そしてキヤマリュウタが監視カメラの映像に映り、指名手配された。
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