第84話
温泉から上がり、夕食を食べて廊下を歩くとアマミヤ先生が酔った男性職員に話しかけられていた。
完全に酔っぱらっている。
「ひっく、アマミヤ先生、一緒に飲みましょう」
「いえ、私は結構です」
「いいじゃないですか。男性職員だけでは華が無いが無いんです」
そう言いながらアマミヤ先生の浴衣姿を舐め回すように見た。
このままではアマミヤ先生にも男性職員にも良い事が無い。
「私はもうすぐ教師を辞めますので」
「やめるなら最後の飲み会に参加しましょう」
あ、ダメだな。
俺はアマミヤ先生の元に駆け寄った。
「アマミヤ先生!ユイが温泉でのぼせてしまったようで、でも男が運ぶのはまずいので手を貸してください!」
「分かった」
「待ってください! 用が済んだら!」
俺は男性職員が言い終わる前に大きな声で言った。
「それと夏休みの宿題を手伝ってください!宿題が頭から離れなくてハザマに集中出来ません!先生お願いします!」
「すぐに行こう」
俺とアマミヤ先生は走った。
俺とアマミヤ先生は皆がいる部屋に戻った。
「オオタ、助かった」
「いえ、でも」
「どうした?」
「いえ、誘いたくなる気持ちは分かります。向こうは酔ってましたし」
「そ、そうか」
レイカさんが遅れて部屋に入って来た。
「フトシ君、さすがね」
「レイカさん?」
「酔った男性職員からアマミヤ先生を無事救出、私が助けるまでも無かったわ」
「見てました?」
「ええ、助けようか迷っていると、颯爽と白馬の王子様が来るんだもの」
「白馬って」
「この部屋は私たち以外のお客さんを立ち入り禁止にしてもらったわ。それと、食事を部屋に持って来てもらうようにしたのと、後は夜になる前に温泉は済ませて、夜以降は部屋のお風呂を使いましょう。それと念のために女性陣は全員2人以上のグループで行動しましょう」
「「分かりました」」
「「……」」
「皆、どうしたの?フトシ君、解説をお願いできる?」
「レイカさんって、急に出来るキャリアウーマンみたいに変わるなーって」
「そうかしら?それほどでも、あるかしら」
レイカさんはふざけたように両手でふぁさあっと髪をなびかせた。
「はい、恋バナになるとアマミヤ先生とユイをからかって返り討ちに合ったり、温泉でも返り討ちに合ってるっぽいのに、急に目が変わってキャリアウーマンみたいになります」
「レイカは、そういう所がオオタと似ているかもしれない」
「俺?ですか?」
「あ、分かるかも、金棒を持つと、急に人格が変わったようになったり、ハザマに入った瞬間にスイッチが切り替わったように目つきが変わるよ?」
レイカさんが俺をじっと見た。
「特級冒険者や上級冒険者はそういう人が多いわよ。所で明日からのハザマ狩りなんだけど、チーム分けはどうするの?」
「レンのパーティーはレン、リナさん、ユズキさんの3人パーティー。アマミヤ先生には俺とユイがついて行きます」
「レン君、ハザマ狩りを後ろから見学させてもらっていいかしら?」
「僕は大丈夫だよ」
「私も問題無いわね」
「いいよお」
「助かるわ。フトシ君、ハザマ狩りを見学させてほしいわ」
「お断りします!」
「……え?」
「3人で集中してハザマ狩りをしたいので見学はお断りします!」
「え、と、そ、そうね。ふざけた印象を持たせてしまったわね。でもね、ハザマ施設に入ってふざけたりはしないわ。ハザマ狩りを見学させてほしいわ」
「お断りします! 俺まだまだなので!」
「よ、予想外、予想外ね、ここまで反対されるとは思わなかったわ。明日はレン君のパーティーを見学させてもらうわね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。