第153話
【総理大臣視点】
「内閣の支持率はアシュラ災害時点と同程度まで落ち込みました。理由は特級冒険者の半減により、オオタフトシ、および他の特級冒険者が海外に流出する危険がある為です」
私はいつものように皆の意見に耳を傾け検討に検討を重ね、今も検討を続けている。
「金持ちから税を取れと言ったのは国民だ! いまさら何を言っているのだ! むしろ我々は富裕層や冒険者を優遇しようとしてきた! その度に叩いてきたのは国民自身だろう!」
「今は特級冒険者、およびオオタフトシの繋ぎ止めについて話し合いましょう。もし仮に特級冒険者とオオタフトシが日本を出て行った場合、内閣の支持率はさらに低下し、野党に議席を奪われます!」
「やはり、熟練冒険者には減税が必要、か」
「いや、減税プラス、恩恵を感じられる権利をつける事で大きな改革をしたと国民に分かってもらう必要がある。フランスの場合」
「あーいい、全部の国の政策をまとめてリスト化してからだ!」
「先延ばしする気か!」
「そうではない! リスト化して整理してこいと言っている!」
「無能ではないのだから、各国の政策位頭に入れておけ! 日本の冒険者優遇がどれだけ遅れているか」
「何だと!貴様はいつも偉そうに! 」
「ストップです! 紙を投げ合わないでください! 取っ組み合いをやめてください! 分かりました! 今ここで各国の冒険者対策をリスト化していきます! ああ、椅子を投げないでください!」
議論は白熱した。
◇
「えー、検討が終わりました。異次元の冒険者おもてなし対策案を実行します!」
【ドリームのオーナー、カネイリ視点】
「オオタフトシは、来ないのか!? これではサービスを改悪できん! 儲けが出ないではないか」
秘書の男が質問に答えた。
「オオタフトシは中小型のハザマ施設を無料で消す旅をしています。将来的にこの行動は冒険者を呼び込む結果に繋がります」
「ぐぬぬ、今が踏ん張りどころか、特級冒険者はどうなっている! 日本に残っている奴もいるだろう!」
「サードプレイスでハザマ狩りをしています」
どうする?
特級が来るかどうかでハザマの処理能力は大きく変わる。
それだけではない、下の冒険者は特級のマネをする傾向がある。
特級、もしくはオオタフトシがカギとなる。
今はキャンペーンを継続して冒険者を繋ぎ止めている為利益が出ていない。
中小型のハザマ施設がもっと潰れれば冒険者はここに流れてくるはずだ。
「宣伝を強化しろ! 中級以上の冒険者を優遇するサービスを新たに追加する!」
「しかし、予算が不足しています」
「予算を追加で100億出す! もう少しだ! もっと中小型のハザマ施設から冒険者を奪い取れ! イメージアップに注力する!」
「すぐに取り掛かります」
カネイリの計画は狂い始めていた。
そして向こうの世界から侵入してくる危機に気づいていない。
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