痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件～痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました～

第117話

　配信後、バスまで移動してホテルに戻った。

　次の日、レイカさん、特級冒険者全員と試験会場に向かうが、試験会場前にはマスコミが押し寄せていた。

　バスが止まるとマイクとカメラを持った人が群がりカシャカシャとシャッター音がする。

「フトシさん！　アシュラ5体を討伐した件についてコメントをお願いします！　窓を開けてください！！」

「1日密着取材をさせてください！」

「窓を開けてください！　窓を開けてください！　フトシさん！　窓を開けてください！！」

　うわ！　怖！

　会場に入れないんじゃないか？

　レイカさんが大きい声で言った。

「これは困りました！　フトシ君には集中して試験を受けて欲しいのですが、私が試験会場の情報を事前に出した事と、バス内で配信を行っている事で取材陣が押し寄せてしまったようです！　完全に私の失敗です！」

　その瞬間に特級冒険者のみんなが笑った。

　外からはマスコミが叫ぶ。

「試験会場に入れてください！　公平な試験を行う為取材陣を中に入れてください！」

「フトシさん！　インタビューをお願いします！　窓を開けてください！　コメントをお願いします！」

「アシュラ討伐の感想をお願いします！　フトシさん、こっちを向いてください！」

　カシャカシャカシャカシャ！

　がやがやがやがや！

　外がうるさい。

「フトシ君、ごめんなさい！私のミスです！思っている以上に国民の皆さんはフトシ君の試験に関心があるようです！今から予定を変更して試験会場をフトシ君のスキル、砦内に変更したいです。時間や場所が変更になりますが問題ありませんか！？」

「だ、大丈夫です」

「「問題無い」」

「フトシ君には怖い思いをさせました！　では今から移動します！　運転手さん、お願いします！」

　運転手は行き先を告げていないのに発進した。

　そしてホテルに戻って来た。

「さて、試験場所をここに変更しました。フトシ君、砦を出してください」

「砦！」

　みんなで砦の第一階層に入った。

「ここで試験を行いますが、皆さまにはまた謝罪があります。皆さんからたくさん注目して貰っているこの試験ですが、私の力不足でまだ試験の許可が下りていません。ですので、この試験は無効となる可能性があります。それでも試験は行いますので皆さん、そのまま視聴をお願いします」

　ハンマさんが口を開いた。

「モンスター省にも色々事情はあると思うが、レイカに権限は渡せなかったか」

　続いて特級冒険者のみんなが一斉に話を始める。

「仮免許扱いで資格を与える、もしくは特別免許の扱いで試験を開催するとか、柔軟なやり方は色々あったと思う」

「フトシ君はこのままじゃ中級や上級のハザマに入れないか、中級か上級以上の冒険者が付き添わないと、初級のハザマにしか入れないのね」

「そんな効率の悪い事をして、もしフェイズ1がまた発生したらダンジョン省は間接的な人殺し集団になっちまうぜ」

「今は、熟練の冒険者と錬金術師が沢山犠牲になってハザマ施設のフェイズ進行が進みやすくなっている。俺達は今日の休みが終われば365日毎日ハザマ狩りか。苦しい」

「フトシ君が上級のハザマに入れれば、私達も休めるのに、本当に悔しいわ」

「申し訳ありません、皆さま特級冒険者のブラックな環境を緩和して、もっと皆さんが特級冒険者になりたいと！　みんなが目指したいと思える環境を全力で作ろうと思います！　ですが私はまだまだ力不足！」

　レイカさんが泣きそうになりながら言った。

「今できる事は、許可が下りた際にフトシ君を即、ランクアップさせるよう準備を進める事しか出来ません。ダンジョン省トップが迅速な判断を行えるようフトシ君の能力を分かってもらうくらいしか今できる事を思いつきませんでした！　協力をお願いします！」

　なんだこれ？

　ダンジョン省を脅しているのと同じじゃないか。

　そういえば昨日皆がレイカさんと話をしていたような気もする。

　レイカさんはダンジョン省を批判しないようにしつつ配信を見ている人に今の状況を教えている。

　他の特級冒険者は分かりやすく俺が初級冒険者のままでいるデメリットを説明したり、レイカさんが言えない事を代理で言っているような感じだ。

　俺はすっとスマホを取り出した。

『モンスター省は何をやっているんだ！』

『特級がブラックとか、夢が無いわ～。税金が高い上にブラック、そりゃ優秀な冒険者が海外に移住するわな！　しかもレイカちゃんの頑張りにモンスター省は協力する気が無いのか？』

『レイカに権限を渡せばそれで済む話なのにな』

『国も色々事情があるのかもだけど、確かにモンスター省は融通が利かない印象がある。ダンジョンは無くなった。でも今は冒険者がたくさん死んでハザマ狩りの熟練冒険者不足が発生する有事やで？　もっと柔軟にフトシに資格を与えて欲しいわ』

『365日休みなしってマジ！』

『あり得るで、考えてみ？

　弱者にやさしい＝特級冒険者に厳しい

　ブラック環境＜人の命

　これが今の国の方針やで』

『その建前の元特級冒険者を生贄にする。モンスター省や政府ならやるだろ？　てか今までがそうだったし今回のダンジョン消滅作戦もそうだっただろ？』

『ぶっちゃけ、政治家1人や官僚1人より、特級冒険者1人の方が価値が高いんだよなあ』

『ホントそれな！』

『特級のみんなが可愛そうだよなあ。フトシは是非ともランクアップして欲しい』

『フトシの拘束ハザマ狩りは今の日本に必要だ。政府は何をやっている！』

『冒険者資格の管理はモンスター省の管轄やで、責任は政府やなくてモンスター省や』

　俺は配信だけでなく掲示板でもモンスター省をネットで調べた。

　……モンスター省が叩かれてる。

　モンスター省も、大変だな。