第118話

「フトシ君、フトシ君!」

「れ、レイカさん!」

「試験を始めますよ」


「あ、はい」

「モンスター省の掲示板ですか?」

「はい、モンスター省が叩かれてて、気になって見てしまいました」


「モンスター省の官僚として、出来る事はやっていきます。すぐに試験を開始し、不正を疑われて炎上しないように試験の様子を皆さまに配信します。最初は彼女の魔法攻撃を避けてください。攻撃は禁止です。避けて近づいて彼女にやさしくタッチしてください。優しくですよ!」


「わ、分かりました」

「フトシ君は攻撃禁止です」

「分かりました」

「攻撃しちゃ駄目ですからね」

「攻撃しません」


『大事な事だから何回も言ったwwwwww』

『最悪殺人事件だからな』

『前の試験動画を参考に対策は万全か』

『金棒をぶん投げる金棒ミサイルか、あれは死ねるわ』


「離れて位置についてください!試験開始です!」


 炎魔法のお姉さんが俺に炎を飛ばして来た、


 ドン!


 俺は地面を蹴って攻撃を躱しつつお姉さんの背中に回り込んだ。


 そしてすっと背中をタッチした。


「ふぇ!?」

「はい、クリアです」


『今何が起きた?飯食いながら見てたんだけど画面に目を戻したら魔法使いのお姉さんの背をフトシがタッチしてた』

『凄い勢いでフトシが炎を躱しつつ近づいてタッチした、以上!』

『特級より速くないか?』


「ハンマさん、解説をお願いします」

「フトシがかなり速いのは分かったと思う。スズメのギア3を超える速さだが、驚いたのはその後だ」


『スズメちゃんのギア3状態って、特級最速だよな!?』

『フトシの速度は特級のスキル使用状態を超えてるって事か』

『特級魔法使い、炎のホムラが手も足も出なかったのか!』


「と、言うのは?」

「あのギア3を超える速度で一気に急加速して、そこから一気に減速してタッチの瞬間タッチの勢いを完全に殺していた、レイカが言った優しくタッチしたんだ。考えて欲しい。スズメのギア3より早く走ってそこから急減速するのはジェット機が急停止するようなものだ。体への負担は計り知れないねえ」


「つまり、フトシ君は速いだけでなく、体も丈夫だと」

「そうなるねえ」

「解説ありがとうございました。次は魔法銃を避けてタッチしてもらいます。今回も優しくタッチしてくださいね」


『今後は連射のレンナだ。彼女のアサルト連射は魔法より威力が低いものの、当てる勝負なら遠距離最強だぜ』

『連射のレンナか、これはさすがに避けるのがきついだろ、フトシでも難しい』

『今回は完全に避ける必要は無い、特級でも全部躱せないの考えると全部避けなくても合格だろ。被弾を減らしつついかにレンナに近づくかが見どころになる』


「位置についてください。試験開始!」


 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!


『レンナは容赦がない!本気で仕留めに来てる!』

『いや、違うな、見て見ろ、どんどん接近してる!手加減をする余裕が無いんだ!』

『レンナの顔を見ろ!追い詰められているのはレンナの方だ!』


 俺はレンナさんに真正面から近づき、銃を腕で上げて、無防備なお腹にタッチした。


「く、!タッチ、されました」


『動きが見えなかったんだけど?当たったの当たってないの?』


「解説のハンマさん、よろしくお願いします」

「全部避けてのタッチだ。フトシには文句のつけようがないねえ。俺なら避けられない」


『あの弾幕を全部避けてたのか!』

『凄すぎ!』

『レイカちゃん、試験をやったのはナイス判断だ。これで世論が変わって、モンスター省が動くしかなくなる!』


「次は近接戦闘への対応を試験します」

「次は俺に行かせてもらっていいかい?」


「分かりました。ハンマさんに直接攻撃してもらいます」


『特級最強のハンマが出る!』

『画面から目が離せねえ!』







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る