第116話

「試験って、開催日時が決まっているのに、俺だけ早く試験を受けるのは良くない気がします」


「すまない、電話だ。レイカか、会議モードで配信、分かった。俺、フトシ、スズメ、レイカの4人で会議配信、スズメのチャンネルで配信、でいいんだな? スズメ、一旦配信を終わらせてくれ」


『来た来た来た来たあああああああああああ!』

『ハンマの言葉で何をする気か分かったわ』

『フトシに試験を受けさせる会議か!』


「配信はここまで。じゃあね~」


 配信が終わるとパソコンを持って集合となり、俺のパソコンにはミーティングアプリがダウンロードされ、食事が終わると会議配信が始まった。


 俺・レイカさん・ハンマさん・スズメさんが画面に4分割で表示される。


 スズメさんは進行をする気が無く、レイカさんが進行する。


『フトシ君の冒険者ランクアップ試験について話していきます。事前資料が作成できなかったので、思いつく障害を1つ1つ対策していく感じにしますね。フトシ君、明日大事な予定はありますか?』

「いえ」


 コメントを見るとコメントが流れる。


『フトシが屋根を開けられたハムスターみたいな顔をしてる』

『状況が分かっていないんだろ?』

『フトシをこのまま初級にしておけば損失だし、手加減無しでフトシが金棒を振ったら最悪殺人事件が発生する。このまま放置するのは二重にヤバイ』


『試験日は明日を目標にします。特級のチュンチュンジャンプの2人には試験官を務めて頂きたいのですがどうでしょう?』

「出来る」

「問題無いねえ」


 よく分からないコメントが並ぶ。


『フトシを除けば強さ最強のハンマと瞬発力最強のスズメを当てるか、良い人選だ』

『強い人間を当てないと殺人事件が起こるからな』



『他に遠距離攻撃を出来る特級の方にご協力をお願いしたです』

「3人が手を挙げた。そこも問題無いねえ」


『では、明日の9時に試験開始で、後は……納品ノルマは、ヒトミちゃんに素材を渡している関係で未達成ですが、3回の要請クリア済み。問題は、私に冒険者ランク試験の権限が無い事です。出来れば特級、最悪でも上級レベル1の権限を貰えるようモンスター省で話をしてみます。モンスター省の話がまとまらなかった場合でも、試験は開催してその様子を配信して国民の民意を仰ぐ形にします』


 いまいち内容を理解出来ない。

 特級?上級?俺が?

 初級レベル7の俺が?


 コメントを見ると文字がどんどん出てくる。


『これでモンスター省が動かなかったらクレームを入れてやる』

『モンスター省が検討待ちとかやったら許さん』

『嫉妬で足を引っ張ってレイカちゃんの邪魔をするのもやめて欲しい。レイカちゃんは国民の命を救う事を優先して矢面に立って動こうとしている。応援してます』


『フトシに試験を受けさせないのは日本の損失』

『フトシが中級ハザマに人を連れて入ってフトシのスキルで結局モンスターを全部倒すみたいなのは良くないと思う』

『あれ無駄だよな』


『一旦配信を終わらせましょう』

「配信終わり、ばいば~い」


 俺は殆ど話さず会議配信が終わった。


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