第127話

 レイカさんはいのりの後ろからノートを覗き込む。


「なるほど、状況は理解しました。司会、書記、進行全部私にお任せください」


 そうして会議は進んだ。



 ◇



「お母さんはいのりをここに住ませたい。そしてマスコミに迷惑している、この2点でいいですか?」

「そうねえ。そうなるわ」


「フトシ君はレン君を助けられていないことが気になる。砦を進化していいか迷っている。貯まった貯金で投資をしたい、でいいかしら?」

「です、でも、砦を進化開始するとしばらく使えません」


「ヒトミちゃんはサードプレイスに行きたいで良いわよね?」

「はい!」


 ライカさんはパソコンをカタカタと打った後みんなに画面を見せて読み上げた。


 問題点

 ①いのりをフトシ君の家に住ませる

 ②マスコミが迷惑

 ③フトシ君はレン君を助けたい

 ④砦を進化していいか迷う

 ⑤フトシ君の投資

 ⑥サードプレイスに行きたい


 解決案

 砦を今すぐ進化開始→フトシ君のアイテムボックスでいのりの荷物をここに運びマンションを解約→レン君の家に家具をプレゼントする→お父さんに投資を教えてもらう→サードプレイスに行く事を配信する


「一旦問題を減らしましょう。サードプレイスへの配信は、私が仕事をやっている事を見せる狙いで入れました。他に問題はありますか?」

「いえ、砦を進化しても大丈夫ですか?進化に20日かかります」

「はい、フトシ君には何度も要請をしてしまった事で、精神的な負担をかけました。ですがあれはイレギュラーです。周りの事は気にせず進化しましょう」


「分かりました、進化開始!」


 俺はその後いのりの荷物を運んでレンの家に家電をプレゼントしに行った。

 何故かレイカさんは配信用のドローンで動画を撮っていた。


 ネットの証券口座を開設して放置状態だった俺は父さんに投資を教えてもらい、アシュラ災害で暴落している日本の高配当株へ1億投資して、残りの1億を全世界株の投資信託に回す事にした。

 父さんは俺が投資を始めて嬉しそうだった。



「これで問題点は減りましたね」


 問題点・旧

 ①いのりをフトシ君の家に住ませる

 ②マスコミが迷惑

 ③フトシ君はレン君を助けたい

 ④砦を進化していいか迷う

 ⑤フトシ君の投資

 ⑥サードプレイスに行きたい


 問題点・現状

 ①マスコミが迷惑

 ②フトシ君はレン君を助けたい

 ③サードプレイスに行きたい


「待ってください、いのりの荷物が俺の部屋にあって俺は砦のスキルを使えません」

「ええ、なので、マスコミへの短期的な対応も含めてサードプレイスに行きましょう。フトシ君がここにいないと分かればマスコミは家に来ませんから」


「レンを助ける以外の事は達成か」

「僕の事は気にしなくていいよ」

「レン君もサードプレイスに行って修行しましょう。何かが変わるかもしれませんよ」


「でも、僕だけ行くのは」

「お母さんはレン君を普通の子供のように育てたかったと言って泣いてましたよ? 普通の子供のようにサードプレイスに行きましょう」


「あれ?もしかして全部解決しそうな予感が」

「ええ、すべての解決を目指します。所でフトシ君に相談があります。最近フトシ君に関する嘘の噂が出回っているので、見切りのシンさんにフトシ君を見て貰いたいです」


「見切りの、シン」


 上級レベル10の冒険者か。

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