第160話

「あははははははははは! さすがレンだ! いやあ、最高の仕事だった!」

「……」


 死神の表情が歪む。


「俺は最後の部屋に戻るから、もう城は壊して大丈夫だ。ははははははははははは、ああ楽しい!」

「……ろす」

「どうした? 見ろよ、皆が外に出たモンスターを倒していく。2人でゆっくり見学するか、もぐもぐ」


 そう言って俺はプライベートルームに戻り、また魔石を食べ始めた。


『ハメたなああああああああああああああああああああああああ! てめえええええええ! ころすぞごらああああああああああああ!』

「もぐもぐ、死神らしく、なって来たな。もぐもぐ、城は壊してどうぞ~。もぐもぐごくん」


『死神じゃねえよ! 俺は亜人の王だ!』

「亜人の王? グレートオーガキングとかそういうのか?」

『あんな駒と一緒にすんな! 殺すぞおおおおおお!』

「もぐもぐもぐもぐ」

『なあああに魔石を食ってやがるううううううう!』


 俺は魔石を食べ続けた。


「ごくん、亜人の王か。変な名前だな。それ本当に名前なのか?」

『殺すううううううううううううううううううう!』


 シャドーが亜人の王に斬られ、テスラゴーレムも斬られた。


「あ、やっば」


 俺は城を解除してドリーム1のハザマがあった部屋に逃げた。

 亜人の王が追って来た。


「追い詰めたよ♪」


 亜人の王が部屋にやって来ると口調が戻った。

 俺を殺す気満々か。


「もう逃げられない♪」

「お前、回数制限有りで攻撃が当たらないんだろ?」

「よく分かったね、僕の運には一日の制限がある、だから何? 知っていてもどうしようもできない事もあるよ♪」


「そうか、それが本当なら助かる」


 多分、俺の運よりこいつの運の方が良い。

 ジョーカーの魔石を食べても俺は普通に攻撃を受けている。

 ジョーカーよりも俺の運の良さは低いだろう。

 そしてジョーカーより亜人の王の方が運がいい気がする。


 あのスキルを使おう。


 新しく覚えたあのスキルを。


 亜人の王が俺に近づいた瞬間に叫んだ。


「レッドフィニッシュ!」


 レッドフィニッシュはレッドオーラ1発と金棒召喚を1秒に圧縮する技だ。


 一瞬で金棒を限界を超えて伸ばす。そして無数に高速で攻撃する。


 亜人の王が何回攻撃を回避できるかは分からない。


 俺はその回避を超える攻撃回数で上回ればいい!

 この空間すべてを壊す勢いで金棒を高速で振る。

 亜人の王は俺を追い詰めたと思っている。

 だが、追い詰められたのはお前の方だ!



 ハザマの大部屋がボロボロになり、亜人の王が攻撃を受ける。

 金棒をヒットの瞬間に巨大化させて無数に叩きこむ。

 1秒に無数の攻撃を繰り返し、レッドフィニッシュが終わると金棒が粉々に砕けた。


 亜人の王は魔石に変わり、俺はその魔石を飲み込んだ。

 能力値が上がったが、スキル的には変化が感じられない。

 もしあったとして、少し運が良くなる程度だろう。


 ……ドローンが、追いついて来た。


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