第161話

【ドローン視点】


『急にフトシと亜人の王が走り出してドローンが置いてけぼりなんだけど、後轟音が聞こえるのは何なんだ?』

『何が起きている?』

『分からないが、ドローンが施設に向かっている』


『フトシ、無事でいてくれよ』

『もう駄目だ、耐えられない。俺リタイアするわ』

『死体があったら怖いよな』

『フトシは大丈夫だ、信じよう』


『おい、施設内がボロボロじゃね?』

『瓦礫がボロボロと落ちて来てるんだけど?』

『フトシだ!』

『生きてる! 無事だぞ!』


『亜人の王は倒したか?』

『フトシ! 大丈夫か!?』

『けがは無いか!』


『多分、倒しました』



【フトシ視点】


 外に出ると歓声が聞こえた。


 ヒトミが走ってきて俺の様子を伺う。


「回復カードを配りたいんだろ?」

「はい、でも、これはフトシ君が取った魔石で作った物です」

「ヒトミ、好きなように使って欲しい」


「フトシ君の許可が出ました! フトシ君の切り札である私が回復カードを配ります!」


 俺はスマホを取り出した。

 配信のコメントを見るとコメントが高速で流れる。


『フトシ、太っ腹だな』

『アフターケアまで考えてるってか、最高過ぎるだろ』

『秘密兵器まで用意してたのかよ、どこまで先を読んでるんだ?』


「違います。ヒトミが凄いんです」

「フトシ君の魔石で育ててもらった私が回復カードを配ります!」


『フトシ最強! そして最高!』

『フトシ君かっこいい!』

『素敵過ぎる。こんなの見ただけで妊娠するわ』


 違うんだけど、言っても無駄か。


「ワシのドリーム1がああああああ!」


 ドリーム1のオーナー、カネイリさんが施設の中に走って行った。


 やっば!

 施設をボロボロにしてしまった。


「弁償できないぞ」


 こうして亜人の王は討伐され日本は落ち着きを取り戻した。




 カネイリさんが建造したの超大型ハザマはドリーム1とドリーム2に分割管理される事になった。

 カネイリさんが完全に悪いわけではないのかもしれない。

 それでもハザマの管理が出来なかった責任を取らされる事になった為だ。


 俺に責任が来なかったのは一安心だ。

 ドリーム1はそのままカネイリさんが管理する事になったが俺がボロボロにした施設の修繕費で財産を使い果たしたようだ。


 ドリーム2はゼンさんが代表を務め、社外取締役としてゴウタさんが就任。

 その後ゼンさんは冒険者に寄り添った運営で自分や幹部の報酬をすべて公開した。

 従業員と冒険者に手厚い運営方針は皆に絶賛された。

 冒険者を奪われた悪役は比較されマスコミの追求を受けた。

 薄利多売型の追従を余儀なくされた。




 しばらくしてからユイとヒトミを連れてドリーム2に訪れた。


 ゼンさんが笑顔で俺を出迎えてくれた。

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