第63話

 学校がある朝と放課後はアマミヤ先生と山で特訓を続け、スキルの検証をした。

 グレートオーガの魔石を食べまくった結果、他のスキルをすべて解放出来た。


 第一階層 ハザマの部屋

 第二階層 矢の道

 第三階層 門の部屋

 第四階層 闘技場

 第五階層 プライベートルーム



 シャドーの闘技場とテスラゴーレムの闘技場を統合する事が出来て闘技場に変わった。

 闘技場には13体のシャドーと1体のテスラゴーレムが出現する。

 だが、やられると約1日近く消えたままになる。


 休日にはスキルを改めて確認し、出来る事が無いか考える事になった。

 だが、山に行こうとするとヒトミが家に来た。


「ヒトミ?どうやって来たんだ?1人でいると男の人に声をかけられるんだろ?」

「気づいたんです。体力のついた今、走って止まらなければ声をかけられないって」


「う、うん、赤信号の時も走っていたのか」

「そうです!それよりも聞きました。アマミヤ先生から個別指導を受けているそうですね!?」


 いつもよりヒトミの声が大きい。


「そうだな。アマミヤ先生も召喚系のスキルを持っているから系統が同じで教わりやすいんだ」

「きゅうですよね?同じ召喚系でもフトシ君の砦とは全然違って指導する意味は薄いです!私も個別指導に参加します!」


 あれ?話が途中から変わってないか?

 きゅうと砦のスキルは全然違うからの個別指導に参加します?

 いや、ツッコんではいけない気がする。

 言えばヒトミが怒る気がする。


「個別指導と言っても、俺が1人で砦のスキルで戦って、アマミヤ先生がそれを見てアドバイスをするだけだ」

「……怪しいです」


「分かった、一緒に行こう。でも本当にトラブルが起きない限りただ座っているだけになる。参加するのはいいけど退屈だぞ?」

「参加します!」


「アオイ、寮から錬金素材を持って来てくれ。錬金のスキルを使う余裕があるはずだ。山の場所は分かるか?」

「はい!大丈夫です!でも、フトシ君のアイテムボックスがあれば助かります」

「皆でいったん寮まで行ってからだな」


 こうして、3人で荷物を取りに行ってから山に向かった。



「じゃあ行くぞ。砦!」

「え?ハザマに入る前に使うんですか?」

「そうだったな、丁度いい。実際に見ながら説明するから」

「はい、よろしくお願いします」


 3人でプライベートルームに飛んだ。


「おおおお!広いホテルのようです」

「うん、ホテルを意識して作ったから」

「外と各階層の画面も見られるんですね」

「そうだな、で、第一階層のハザマの部屋を見て欲しい」


「あ、グレートオーガの魔法陣がたくさん!まるでハザマ施設です!」


 グレートオーガのハザマに繋がる魔法陣がいくつも並び、輝きを放っていた。


「完全犯罪ですね」

「いい方、何も悪い事はしていないぞ」

「……でも。もし、ハザマからグレートオーガが溢れたら危なくないですか?」

「意図的に溢れさせているぞ」

「え?」


「実際にやってみる。ハザマ浸食!」


 グレートオーガのハザマに繋がる魔法陣が歪んでそこからグレートオーガの群れが現れた。

 25体くらいか。


 今までと戦い方が変わり効率は大きく上昇した。


 今までの戦い方は、

 ハザマに乗り込む→マイルームのスキルを使ってマイルームにワープ→おびき寄せて雑魚を殲滅→マイルームを消して拠点に乗り込みボスを倒す

 この流れだった。


 だが今は、

 拠点スキルで拠点に入る→拠点内のハザマの部屋でハザマを最初に消す→出て来たモンスターを倒して終了


 俺に有利な砦内ですべて処理できるようになったことで、アマミヤ先生と食事を食べながら、ソファで横になりながらでもモンスターを倒す事が出来るようになった。

 倒したドロップ品はアイテムボックスで回収して甘いものが食べたくなったら魔石を食べればいい。


「オオタのスキルはどんどん効率を上げて行き、今ではほぼオートでハザマとモンスターを消せるようになった」

「どんどん行きますよ。後8つほどハザマを侵食します」


「オオタ、もっと慎重にな」

「もうやってしまいました」


 グレートオーガの群れが大量に第二階層の矢の道に続く魔法陣に入って来た。


「「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」」


「わわわわわ!怖い怖い!」

「だが、この程度なら大丈夫だろう」

「で、でも、グレートオーガが300体以上いますよ!でも、矢が一度に10本も!あ!突破されます!」


「第三階層に行ってきます」


 俺は戦いに集中した。

 画面からプライベートルームの声が聞こえるが戦いに集中している為話が入ってこない。


『第三層は門の間だ』

『門から手が生えています!凄い迫力です!』



 第二階層は縦10メートル×横10メートル×高さ10メートル。

 キューブの内面構造になっている。

 上下左右の6面すべてに門のゴーレムが配置されている。

 門のゴーレムは門に顔があり、門から2本の手が出て、金棒を持って攻撃する。


 6面それぞれの手を合計すると12本あり、すべてが金棒を持っている。

 魔法陣から続々とグレートオーガが出て来た。


『グレートオーガも怖いですけど、門も怖いです』

『鬼の門のようで迫力があるだろう?6面すべてのゴーレムを破壊するか門のゴーレムを消さない限り次の階層への魔法陣は開かれない。だが、オオタがいる場合はオオタを倒さなければ魔法陣が現れない』

『フトシ君がラスボスなんですね』

『そのイメージで合っている』


 俺はグレートオーガの金棒でグレートオーガを瞬殺していく。


『門のゴーレムよりフトシ君が一番すごいですよ』

『まさに鬼神のような強さだ』


 俺はグレートオーガを倒し続ける。

 このままだと全部倒してしまう。

 門のゴーレムを消して出て来た魔法陣に乗りワープした。


「第四階層まで追ってこい!」


 俺は第四階層にワープした。

 第四階層は13体の金棒を持ったシャドー。

 そして体長5メートルほどのテスラゴーレム1体がグレートオーガを迎え撃つ。


 俺はテンションマックス状態でグレートオーガを全滅させた。

 そしてプライベートルームに戻る。


「ふう、いい汗かいた」

「えええ!グレートオーガの群れはもう余裕ですか!?」


「オオタ、スタミナを回復させよう。きゅう、回復!」

「きゅう」


 きゅうが俺に飛び乗った。


「えええ!スタミナまで回復できるんですか!?」

「そうだな、何度も試してみたが、どうやら傷だけではなく、魔力・スタミナ・状態異常も回復させる効果があるようだ」

「そんな!私の役目が無くなってしまいます!」


「いや、回復カードの役目は無くならない。回復カードはストックできる大きな強みがある。きゅうの回復は魔力を消費する為何度も使えない。それに色々回復出来る分回復効果は低めだ」

「でも、魔力とスタミナを回復できるのは大きいですよ」


 ヒトミは何度も大げさに驚き、俺のテンションを上げてくれる。

 ヒトミは俺を乗せるのがうまいな。

 思わず張り切って戦ってしまった。

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