第190話 ゲート前

 俺はゲート前にマイルームの魔法陣を発生させた。

 入って来るモンスターはシャドーに任せて、魔法陣の外とドームを映しつつネットを開こうとした。


 レンとリナさんが訪ねてきた。


『フトシ、聞こえるかな?』

「聞こえるぞ、入ってくれ」


 2人をプライベートルームに案内した。

 

「入るよ」

「お邪魔するわね」

「座ってくれ」

「コーヒーのいい匂いね」


「今から2人の分も淹れるから……俺も飲もう」


 細口の電気ケトルで湯を沸かしてハンドドリップでコーヒーを淹れる。

 砂糖とクリープ、ヒトミが作ったお菓子も置いた。


「2人もゲートに行くのか?」

「その事でフトシに言っておきたいんだ」

「私とレンの赤ちゃんがいるの」


「お、おおおお! おめでとう! いや、それは生まれてからか?」

「そんなに深く考えなくてもいいわよ」

「うん、だから、ゲートに行くのは僕だけだよ」

「そっか、そうだよな」


 世界の人口は減っている。

 生命の誕生は希望なのだ。


「なんかさ、元気になったわ」

「フトシのおかげだよ」

「いやいやいやいや! 俺はレンに助けられてきたんだ!」

「ふふふ、2人とも同じことを言っているわね」


「そろそろ行くよ」

「うん、またな」

「また」

「またね」


 レンがリナさんをいたわりながらドリーム2に帰って行った。

 なんか、感動する。

 俺も出来る事をしよう。


「一匹たりとも! ゲートから出さない! キリ!」


 画面を見るとシャドーがモンスターを倒す。

 シャドーが全く消耗しない。

 暇だな。


 あれ? スズメが走って来た。


『フトシ、いれて』

「ほいほい」


 スズメを入れると、俺を持ってベッドに向かった。

 俺の服を脱がせて、服を脱いでいく。


「フトシ、いれて」

「ほ!」


 俺はスズメと過ごした。



 ◇



 スズメが帰ると、レイカといのりが訪ねてきた。

 モンスター狩りが終わったせいか服が汚れている。


「シャワーを借りるわね」

「どうぞどうぞ」

「フトシ君、一緒にシャワーを浴びましょう」


 俺は2人とシャワーを浴びてサンドイッチされるように眠った。

 こんな生活を続けるうちにルーティンが出来上がった。


 月曜日:レイカといのり

 火曜日:ユイとヒトミ

 水曜日:ユズキとメルヘン

 木曜日:スズメ

 金曜日:ランダム

 土曜日:ランダム

 日曜日:ランダム


 金曜から土曜はスズメが少なめだ。

 多分裏で話が進められたのだろう。


 そんな生活を続けるとゲート周りが掘られ、岩が集まり、防壁が出来上がっていった。

 防壁が出来上がるとヒトミが迎えに来た。


「帰りましょう!」


 俺とヒトミは防壁まで歩くとヒトミが叫んだ。


「ドローン! 来てください!」


 ドローンが俺の目の前に着地した。

 ドローン中央部の台に2人で乗るとドローンが飛んで防壁を飛び越えて着地した。


「おおお! 未来っぽい!」

「私が錬金術で作りました!」


 ヒトミが得意げな顔で胸を張った。

 防壁には門が無い、門を破壊されればモンスターがなだれ込んでくる為だ。

 

「出来が良い、防壁も立派だ。他のゲートでもみんなが真似するんじゃないか?」

「すでに設計図は世界に公開しました。新しく防壁を自治体が出てきましたよ」


 モンスターは資源でもある。

 距離を置きすぎてもエネルギーや食糧が無くなる。



「ゲートとはこのくらいの距離感が一番いいのかもな」

「私もそう思います」


 ドリーム2に帰るとみんなが拍手で出迎えた。




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