ラグナロク後・おまけストーリー

第189話 ゲート

 結婚式を終えると、会議が始まった。

 レイカが司会進行をする。

 長いテーブルの片面には俺・ユイ・いのり・ヒトミ・ユズキ・スズメ・レン・リナさんが座る。

 対面にはゼンさん・シンさん・ハヤテさん・ゴウタさん・父さん・母さん、そしてドリーム2ン幹部が並ぶ。


 メルヘンはテーブルに座りお菓子を食べていた。


「今、最も大きな問題はラグナロクと同時に発生したゲートです」


 ゲートとは直径20メートルの大きな円状のワープポイントで、ゲートに入るとモンスターが多くポップする空間が広がっている。

 ダンジョンというより別世界が近い。


 レイカは官僚を辞め、フトシ四天王はドリーム2に住む事を決めた、この設定いつまで続くんだ?


「メルヘンの話をまとめると、あのゲートは1万年前までは世界間を行き来するためのワープポイントだったようです。ですがモンスターをこの世界から隔てる結界を作った結果、精神世界にゲートが固定され、ラグナロクによって精神世界とこの世界を繋ぐゲートに変異したようです」


 大分、世界の法則が変わった。

 その他にも、モンスターを倒すだけで経験値を得られるようになった。

 人々は前より簡単に強くなれる。

 みんながスキルに覚醒した。


 友好的な精神世界の住人がドリーム2に住むようになったりと世界は変わっている。

 エルフやケモミミ尻尾、人に近い外見の亜人種がこの世界に住んでいる。


「ゲートからはモンスターが溢れ、この世界に出てきます。今回はその対策会議です」


 ヒトミがしゅぱっと手を挙げた。


「ゲートから半径1キロ付近に岩の防壁を作ります! 防壁の内側は掘って池にします!」

「内側に向けて城の防御みたいにするわけか」

「そうです! 更にゲートへの出入りはドローンで行い、門は作りません!」


「最終的にはそういった方向を目指すべきですね」

「俺のマイルームをゲートの入り口か出口付近に設置して置けば、モンスターを止められる。どうだろ?」


「結局は、フトシ君に頼る事になりそうですね。ですがそれ以外にありませんか?」


 シンさんが手を挙げた。


「ゲート内の探索をしたい」

「はい、良いと思います」


 ユズキが手を挙げた。


「魔法銃で出てきたモンスターを狙撃、とか?」

「いいですよ。どんどん出していきましょう」


 こうして、俺のマイルームトラップと熟練冒険者の活動が決まり会議は終わった。


「レイカ、今、日本政府はどうなっているんだ?」


 みんなが席を立たずに俺とレイカの話を聞く。


「詳しくは分からないけど、政府はデモやテロでうまく機能していないわ。これはうまくいくか分からないけど」

「話して欲しい」


「政府は権限を地方自治に大幅に渡そうとしているみたい」

「要するに、責任は政府じゃなくて地方の自治ですよと、そう持って行くのか?」

「そうね、そして年金などの社会保障も地方自治の判断に任せようとしているわ」


「優秀な冒険者は負担の大きい地域から負担の小さい地域に逃げるから、社会保障を厚くして税金を高くする地域は衰退するだろうな。後は……政府がその気になればデモやテロをやるのはバカ、文句があれば移住すればいいだろう的な感じに持って行く事も出来る」


「そうね、政府への批判を避ける為に、ある意味いい方向に国は動こうとしているわ。老人が若返って年金を払う必要性はもう無いわ。今までの弱いふり競争は終わって、自分の身は自分で守る時代になりつつあるわね」


 弱いふり競争、「ワシ老人だから弱いんじゃ!年金よこせ」とか「俺弱いから生活保護をよこせ!」みたいなことは出来なくなる。

 そういえばこの前、デモをしていた集団がモンスターに殺される事件が起きた。

 弱いふりをするより戦闘訓練を受けて、モンスターを倒して力を持っておく方が生き残りやすくなった。


 もっと言うと、支配階級にいた人がある日突然モンスターに襲われたり、人に襲われる事件も発生した。

 ドリーム2は、自分で頑張って身を守れるようになろうと思って行動した人が集まっている。

 ここはとても平和だ。


 近くにゲートが出来たおかげか、弱いふり競争をする人はここに近づけなくなった。

 ゲートからモンスターが出てきて最悪死ぬからだ。


「俺は、ゲートに行ってくる。シャドーに任せてのんびりするさ」


 俺はゲートに向かった。





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