第88話
ネット掲示板ではフトシの存在が認知され始めていた。
だが気づいたのはバトルマニアとその他の少数勢力に過ぎない。
ダンジョン省の動画見た?
リンクはここ→ここ
スケルトンの大量出現だろ?
ニュースで見たわ。
レンか?
レンが強いのはいつもの事だろ?
薄い!着眼点が薄っぺらい!
どっちもちゃうわ! ちゃんと見ろって!
見る気が無いならダンジョン省の公式フトシ切り抜き動画を見ろって!→ここ
これ、ドローンのアングルが悪くて良く見えんけどレンより強いだろ。CGとかじゃないのか?
この金棒使い何者?フトシって聞いた事無いんだけど?
こいつやばくない?
オオタフトシだな。
冒険者高校は学費が無償な代わりにデータ提供の義務が発生する。
ネットで誰でもスキル取得者の情報を見られるで。
情報載せてクレメンス
高校入学時の簡易プロフィールな
オオタフトシ
スキル:マイルーム・召喚系
初級冒険者レベル1
身長160センチ
体重130キロ
こっちが最新プロフィール
オオタフトシ
スキル:マイルーム・召喚系
初級冒険者レベル7
身長175センチ
体重72キロ
おかしくない?
130キロから72キロになって、身長は15センチも伸びとる。
いやマジやで。
お前ら、驚くのはそこ以外にもある。弱い召喚系なのにレンより無双してたところだろ?
なんでこいつがまだ初級冒険者レベル7なんだ?
あまり試験を受けない変わりものなんじゃね?
初級レベル7なのに選抜の100人に選ばれてるのが違和感。
国は俺達に何か隠してないか?
分からん、隠すなら選抜に選ばない気もするし、なんか情報がちぐはぐすぎて気持ち悪い。
基本はランクの高い順に強化合宿に参加するが、ダンジョン省は逸材を推薦枠として強化合宿にねじ込めるで。
ダンジョン省に聞けば普通に答えるかもしれない。
多分、フトシは天才なんだろ?
このドローンの映像を見て多くの人間は『いっぱいスケルトンが出た』程度の浅い認識しか出来ないだろう。
ドローンがフトシをうまく捕えられてなくてもやもやするわ。
スケルトン大発生の速報配信だからしょうがないけどね。
今分かるのは、グレートオーガの金棒みたいな武器を出して伸ばしてワンスイングでスケルトンを100体ほど瞬殺→レンとイキリ高校生を投げて救出すると魔法陣を出してその中に入ったらスケルトンも入って行った→よく分からんうちに草むらから這い出してきてふらふらと起き上がり無事生還ってとこか?
今フトシが村から表彰されてるで、ダンジョン省で配信されとる。
レンじゃなくてフトシが表彰されているのがポイントだ。
すぐに向かう。
バトルマニアの血が騒ぐぜ!
特級の匂いがする。
【避難所】
村長が避難所で挨拶をする。
「今村は厳しい状況です。ですが、ここにいる強化合宿のメンバーが一丸となり、スケルトンを倒してくれたおかげで、建物等への被害は少なく、無事冒険者が駆け付けハザマ殲滅の為力を尽くしてくれています」
配信にコメントが流れる。
『村長の言葉が長い』
『校長と村長の話が長いのはデフォ』
『高校の強化合宿メンバーは役目を終えたのか』
『そりゃそうよ、将来のエースが大量に死ねば国は大バッシングを受ける。熟練冒険者が来たらバトンタッチは納得だ』
『これ、見る意味あるのか?』
『じゃあ今すぐ配信を消せばいい』
『てか、熟練冒険者が村に来るの早くね?1日かかってないよな?普通は揃うまで3日かかる』
『まだ揃ってはいないで』
『有事発生→高校在学を除く中級以上の冒険者に村に集まるよう要請→早く着いた順にスケルトン狩り中、今ここやね』
「つきましては代表のオオタフトシ君に表彰状を送ります」
『来た来た!』
『イケメンやん』
『レンじゃなくてフトシが代表か』
『普通の表彰状を渡して終わりのやつ?』
『いや、違うな。村長の顔を見てみ』
「フトシ君、本当にありがとうございます。ダンジョン省から聞きました。フトシ君が命を賭けて1万のモンスターを倒してくれたと、う、ぐううううううううう!ほんどうにいいい、ありがどうございましたあああああああ!うおおおおおおん!」
『は!1万ってマジ?』
『さすがにおかしいだろ』
『金棒を伸ばして一回振っただけでスケルトンの群れを倒した。100回スイングすれば1万行けるな』
『フトシが出した魔法陣みたいなのにスケルトンが入って行ったようにも見える。アレ倒してたのか?』
『召喚系で更にユニークなスキルを使うっぽいから夢が膨らむな!』
「ありがとうございます。これで表彰式は終了となります。ダンジョン省では一刻も早いハザマフェイズ1の消滅を目指していきます」
『美人官僚が出て来た!』
『良き!』
『ダンジョン省のレイカだな。美人過ぎるダンジョン省官僚やで』
「それと、インターネットで強化合宿特別推薦枠に選ばれたオオタフトシ君が話題になりつつあります。ハザマのフェイズ1問題が解決し次第、彼の能力を見極めていきます」
こうして配信は終わった。
ドローンによる断片的な無双配信の状況。
レンではなく、特別推薦枠に選ばれたオオタフトシが代表として表彰を受けた事実。
更にはダンジョン省の美人官僚がオオタフトシの事に触れた点。
この3つがバトルマニアの捜査魂に火をつけた。
オオタフトシの存在が世間に知られ始めて行った。
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