第36話

「どうしてですか!?」

「それがな、最近ゴブリンのハザマが消え始めて、国の方針で施設の合理化が決まった。要するに店じまいだな」


 ダラダラと汗が流れる。

 そう言えば、俺がハザマを出せるようになってからゴブリンのハザマが消えだした。

 特に偽クイーンは1本角のゴブリンを大量に出してきていた。

 あれが他のハザマにいるボスゴブリンだとしたら……1本角を倒すたびにハザマが1つ減っていたことになるんじゃないか?


 ……いや、俺の影響ではないと思う。

 でも、もし俺の動きが少しでも関係していたとしたら、このままじゃ駄目だ!

 それ以前にゴウタさんが暗い顔をしているのが嫌だ。


「ちょっと、ハザマの魔法陣を見せてもらっていいですか?」

「今行っても、ゴブリンのハザマは殆どない」

「それでも見たいです」

「分かった」


 俺は走って地下に降りた。

 二重扉を開けて中に入るとゴブリンのハザマである赤く光る魔法陣が1つも無い。


 俺のスキルでゴブリンのハザマを出せば。

 俺は上を見た、監視カメラがある。


 ……時間差で発生させられないか?

 俺はハザマを見学するふりをして、意識を集中させた。


 出来る!

 ゴブリンのハザマは時間差で出せる!

 ゴブリンのハザマは出せなくなっても時間が経てば出せるようになるのか。

 俺のスキルは安定しないな。


 俺は時間差でハザマを発生させるようにスキルを使った。

 そして階段を登る。

 俺如きが世界に影響を与えられる訳がない。

 ……でもハザマを発生させられる事は誰にも言わないでおこう。


 上に上がるとゴウタさんが声をかけて来た。


「顔色が悪いぜ」

「き、今日は栄養不足だと、アマミヤ先生に言われました。ダイエットをしすぎたみたいです」

「痩せすぎているな。もっと食え」


「はい。あ、ハザマは見終わりました」

「そうか、がっかりしただろ?」

「いえ、そろそろ帰ります。新武器やスキルのチェックがしたくて」


 昨日スキルが強くなった。

 新しいスキルも覚えた。

 昨日は眠くてそのまま寝て今日は栄養不足だった。

 最近いつも頭がぼーっとしていたけど今日はたくさん食べた。


 スキルのチェックをしよう!

 スキルチェックは必要だ!


「ああ、分かるぜ。新しい武器を買ったら全力で振り回したくなるよな」

「そ、そんな感じです。マイルームで本気で振り回してみます。ははは、子供っぽいですかね」

「いや、俺も同じだ」


 ゴウタさんが親指を立てた。

 俺も親指を立てた後、走って帰った。


「おい!走るな!倒れるぞ!」


 俺は逃げるように走って帰った。

 たくさん食べたおかげか体が軽い。

 でも、心が少しもやもやする。


 ゴブリンのハザマを出すスキルは不安定なのか。

 もしかして、無理なダイエットが関係あるのか?

 ダイエット中は途中から頭がぼーっとしていたけど、今は少し調子が良くなってハザマを出せるようになった。

 早く体重を増量しよう。

 増量なんて簡単だ!




 あとがき

 作品のフォローや星を頂けますとやる気が上がります。

 どうかお盆中もよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る