第50話

「こ、これは、その……」

「言いつけたりはしません。安心してください」

「ああ、秘密で頼む」

「2人だけの秘密ですね」


「戦いを見学していいですか?」

「危ない」

「でも、フトシ君のスキルはマイルームですよね?学校では有名です。奥までモンスターが来ないなら大丈夫ですよ」


 高校が無料な代償として、どのスキルを持っているか入学時には必ず開示する事になっている。

 国は冒険者のデータを欲しがってるのだ


「オーガだけなら……余裕か」

「凄いですね」

「ん?何がだ?」


「オーガを余裕で倒せるなんて、凄いですよ」

「相性とかもあるのかもな」

「ますます見てみたいです」

「分かった。入ろう」


 2人でハザマに入ってすぐにマイルームを発動した。

 最後の部屋にワープするとヒトミがはしゃいだ。


「おお!これがシャドーランサーですね!外の映像も見れますね!あ!オーガが来ましたよ!」


 オーガ4体がアローで倒される。


「え?もう終わりですか!しかも4体全部魔石を落としました」

「あ、これは、その」

「……すいません。言いたくない事は言わなくて大丈夫です。秘密にします」

「助かる」


「……遠くにいるオーガに角が3本生えてます!オーガクイーンですよ!!」

「いや、あれは偽者だろ」

「偽者とか聞いた事が無いです!」

「でも、弱すぎるから」

「オーガを出してるじゃないですか!」


 クイーンなのか?

 本当にクイーン?

 だとしたら、俺強くね?


 いやいやいやいや!

 うぬぼれるな!

 たとえ相手がクイーンだとしても俺はそこまで強くはない。

 運と相性、そう、この2つが噛み合ったのだ!

 それだけだ!


「フトシさん、4騎士がマイルームに走ってきます」

「なん、だと!」


 4騎士が揃ってマイルームの魔法陣に乗り、侵入してきた。

 4騎士はファイター・タンク・ビショップ・マジシャンの4体で、固まって進んできた。


 アローをマジシャンに放つが、ビショップは即座に傷を回復させる。

 アローが通用しない!

 このままだと奥まで突破される!


「ヒトミ!奥のプライベートルームに避難してくれ!危ない!」

「は、はい!」


 ヒトミがプライベートルームに避難した。



【ヒトミ視点】


 プライベートルームから外の様子が映し出された。


『く、逃げられないか!』


 フトシ君が呟いた。

 私がいるせいでハザマから逃げられないことが分かった。

 私が見学をしたいと言わなければこんなことにはならなかっただろう。


 4騎士はアローの攻撃にひるまず、扉まで攻めて来た。

 扉が自動で開いて4騎士が攻めてくる。


 ファイターとタンクが門の前に出た瞬間に扉が閉まる。

 でも、マジシャンが炎魔法で扉を攻撃し始めた。


 1撃で扉がメキメキと音を立てた。

 数発で突破されるだろう。


「ダブル!レッドオーラ!」

 アローとシャドーランサーが2つに増え、雷撃がファイターにヒットした。

 更にフトシ君の体が赤く輝き、目が赤く光った。


 ファイターが硬直した瞬間にフトシ君はファイターに走ろうとした。

 でもタンクが間に割り込んで邪魔をする。

 フトシ君が金棒を横にスイングしてタンクを吹き飛ばすと金棒を上に振りかぶってファイターを攻撃した。


 ファイターが大剣で攻撃をガードするが大剣事叩き潰すように攻撃がヒットした。


 行ける!

 フトシ君は強い!


 何故かフトシ君には攻撃が当たりにくい。

 フトシ君はきっと天才なんだ!

 それにあの大きな金棒で攻撃されたらファイターは耐えられない。


 だが、扉が破壊され、そこから炎が放たれた。

 フトシ君とファイターが同時に壁に叩きつけられた。


『4騎士は、偽キングより強い、か!』


『『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』』


 4騎士が雄たけびを上げた。


 あの叫び声で私の体が震える。


 4騎士が怖い。

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