第75話

 食事が終わるとアマミヤ先生が言った。


「オオタ、体を見せてくれ」

「……ん?」

「おほん、体重は増えた。また体を見て何キロ増やせばいいか伝えたい」

「そうね、フトシの判断は極端すぎてダメよ。先生に診てもらいなさい」


「私もやります!」

「じゃあ、ユイちゃんもね。フトシは筋肉がありすぎてBMIはもう参考にならないわ。みんなから見た健康的な体、それが一番いいと思うわ」

「そっか~」


 俺はトランクス以外全部脱いだ。


「3人はどんな体系のフトシが好きかのか知りたいわね」


 母さんがまた変な事を言う。

 でも、健康的な体=魅力的な体だから、間違ってないのか?


 ヒトミが俺の体をフェザータッチする。


「ヒトミ、くすぐったいんだけど?」

「触って、見て、すべてで感じて決めたいです」

「ひ、ヒトミ、その触り方はダメだよ」


「ユイちゃんも触っていいのよ」

「わ、私はいいです」


 アマミヤ先生が悩んでいる。


「2,いや、3キロ?う~ん」

「アマミヤ先生、フトシ君はたくさん食べたばかりでお腹が膨れています。そう考えると、5キロ増量しましょう」

「ユイちゃんはどう思う?」

「髪を、少し切った方がいいような」

「えええええ!そっち!」


「あ、ごめんね、体重は……2キロ増やす?かな?」

「3……3キロ増量にしよう。3キロ増量したらまた言って欲しい」


 ガチャリ!


 父さんが帰ってきた。


「フトシ、何をやってるんだ?」


 父さんが帰って来て変な空気になった事で話は終わった。



 母さんは『お父さんの食事とお風呂があるから、後は若い4人にお任せしますかな』と言って俺達を部屋に入れた。


 母さんは遊んでいる。



 4人が部屋に入るとヒトミが俺のベッドに座り、ユイを椅子に座らせ、アマミヤ先生をベッドに座らせた。

 4人いると圧迫感があり、俺だけ立ったままだ。


「ユイ、アマミヤ先生はユイを手伝うって言ってたけど、一緒に中級ハザマに行くのか?」

「……うん、お願いしようかな。少しでも強くなりたいから」


「俺は2人と違って初級だけどさ、それでも、ユイと一緒にハザマに行って良いか?」

「一緒に行きたいけど、逆にいいの?迷惑に」

「ならないならない!俺は初級だぞ!」


「フトシ君は大丈夫です。フトシ君はとり、あ、何でもないです」

「ひとみ、とりってなに?何か隠してる?フトシとヒトミで何か隠してない?」

「間違えました」


 ヒトミがすっと目を逸らした。


「隠してるよね?」

「……それはいいとして、明日のハザマ狩りには私の錬金アイテムを」

「え?なに?隠したことを教えて?」


 ユイは仲間外れにされるのを嫌がる。

 これは、隠し通せないし、隠したまま協力するのも効率が悪い。

 それに、ユイなら安心か。


「ヒトミ、ユイ、悪かった。明日、学校前のハザマでスキルを使いながら説明するから」

「明日は朝9時、学校前のハザマに集合でどうだ?」


「「大丈夫!」」


 何故かヒトミも一緒について来ようとした。


「ヒトミは、お留守番だろ?」

「そんな!私だけのけ者ですか!」

「いや違うって、錬金術師と冒険者の違いだ」

「……分かりました。明日のハザマは諦めます」


 ヒトミが悲しそうな顔で言った。

 食事会が終わり、俺は1人で考えた。


 試験に受かった。

 納品数が多ければもう少し上のランクになれたらしい。

 そして中級を目指せる。


 自分に余裕が出来ると、助けてもらったみんなの事が気になってきた。

 みんなのおかげでここまでこれた。

 夏休みは、どうやってみんなを助けるかゆっくり考えてるのもいいだろう。

 

「俺は、まだ返しきれていない」

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