第155話

 総理の劇場が終わると俺は冒険者専用のホテルに向かい、ベッドに横になった。

 ヒトミが俺の部屋に入って俺の顔に温かいタオルをかける。


「おお、気持ちいい」

「休んだ方が良いです」

「いや、ハザマを消滅させる旅は良かったんだ。でも、あの記者会見は疲れる」


「冷たいタオルに変えますね」

「ありがとう……本当は2人で旅行に行く約束だったけど、先延ばしにしてしまったな」

「困っているハザマ施設を何とかしたかったんですよね?」


「……経営破綻したオーナーが逃げ出してたり、それで何故か関係のない官僚が文句を言われてたりして、色々大変なんだなーとか思った。ハザマ合理化は間違っていないけど改革を進めると、絶対に痛みがあるよな」


 官僚も政治家も、マスコミも、良い人も悪い人もいる。

 一括りには出来ないのが良く分かった。


「フトシ君、一緒に寝ましょう」


 ヒトミが俺の服を脱がせていく。


「え?」

「本気ですよ」


「……」

「……」


「お、俺シャワーを浴びてくる」


 俺はシャワー室に入った。

 ヒトミの顔がいつもと違う。

 このままでは本能を抑えられなくなる。


「フトシ君、開けてください。忘れ物です」

「あ、ああ、悪い、焦っていた」


 俺が扉を開けると、ヒトミは生まれたままの姿で、ゴムを口に咥えていた。


「忘れ物は、私です」


 抑えきれない、


 俺は、


 自分の本能に負けた。



 ◇



【3日後】


 俺とヒトミはバイキングと部屋を往復した。

 食べて寝て、1つになる、それだけを繰り返した。

 

 ヒトミは攻めるタイプに見えるが、攻められるととても弱かった。



【4日後】


「はあ、はあ、もう、フトシ君に、私の弱い所、全部知られちゃいました」

「手加減しようか?」

「だめです、思いっきりやってください。フトシ君から、来てください」

「いいんだけど、体は大丈夫か?少し休んだ方が」


「……多目的ルームに行きましょう」

「……多目的ルーム」

「あそこは、色々出来るんです」

「そ、そうか」

「後は、個室サウナもあります」


 2人で施設をフル活用した。



【6日後】


 ヒトミが倒れた。


「はあ、はあ、最高、でした」

「無理を、させ過ぎた」

「フトシ君は遠慮し過ぎです」


「今日は、ゆっくり休もう」


 

【7日後】


 ヒトミ・ユイ・いのりが俺の部屋に集まる。


「ヒトミ、肌がプルプルね」

「ユイちゃんだけじゃなくヒトミちゃんも……」

「いのりもしますか?お肌がプルプルになりますよ?」


「ユイちゃん、ヒトミちゃん、話をしましょう」

「俺は?」

「3人だけで話をしたいの。3人で牽制し合うか、分け合うか、当然独占したいのが本心だとしても、奪い合いは勝率は低いと思うの」


「フトシを分け合うか、独占するか」

「え? 何それ!」

「分かりました、正々堂々と話し合いましょう」


 3人が部屋を出て行った。

 ヒトミって、積極的だけど陰でこそこそ動いたりはしないタイプだと思っていたけど、何を話すんだ?




【ドリーム1】


 何度も結界から出ようとした。

 でも僕の存在は大きすぎて結界の網目を抜けられなかった。


 ようやくだ。

 やっと向こうからハザマに出てこられた。

 ハザマまで出られたらもうこっちのものだ。

 一気にハザマを侵食して外の世界に出た。


 物質界の空気がうまい、物質の力が体に流れ込んでくる。


「いい眺めだ♪」


 大量のハザマを眺める。


「やっと出られた♪」


 死神に見えるその男は歩く足音が一切せず、ハザマの外に出た。

 一瞬で鉄の扉を黒くて大きなカマで破壊し、黒いマントをなびかせながら外に出る。

 人間にも見えるがよく見るとその肌は青白く、目は赤く輝いていた。


 警報が鳴り、冒険者が男を止めようとするが一瞬で斬り殺された。


「邪魔♪」


 周りにいた冒険者が距離を取る中、その男は歩き続け、扉を壊して外に出た。


「人間ども、僕が滅ぼしてあげるよ♪」


 地面が揺れて隆起する。


 そこには一瞬でダンジョンが出来た。

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