第38話
「寝坊した!」
たくさん眠ったのに!
俺はレッドオーラを使いつつ走って学校に向かい、何とか間に合った。
早く走った為俺だとばれなかっただろう。
裏道でしっかりレッドオーラは解除したし。
レッドオーラ最高!
席につき、ホームルームが始まるとユイがちらちらと見ていた。
いけない、にやにやした顔が表に出てしまった。
ゴウタさんのハザマの事が気になったが今聞くと話がおかしくなるだろう。
今日もアマミヤ先生の授業か。
「今日の授業はジョーカーについてだ。ジョーカーは回避と命中の能力が高い。何かスキルを持っていると考えられる。まあ、それ以前に目撃情報があまりにも少ない。本当にいるかどうかすら分かっていない」
俺に関係ないやつだ。
教科書でジョーカーを見ると、トランプのジョーカーのような派手な見た目をしてカマを持っていた。
都市伝説の可能性もある、いるかいないか分からないモンスターを気にしてもしょうがない。
帰ったら山でゴブリンのハザマに行こう。
放課後に山でゴブリンのハザマに入った。
ゴブリン8体。
見ているだけで終わるか。
アローでゴブリンが倒れると、マイルームの外から新手がやって来た。
「ジョーカー!!」
カマを持ってピエロのようにコミカルな動きをしながらマイルームに入って来た。
ジョーカーがダンスを踊りながら歩くと自然とアローの攻撃を躱して進んでくる。
「はあ!全部避けて、いや、避けていないのに当たらない!」
何なんだこいつは!
何十発もアローを撃っているはずなのに当たらない。
まるでアローが見当違いの方向に矢を放っているように見える。
ジョーカーの動きはそこまで早いわけじゃない。
でも、何故か当たらないのだ。
回避スキルでも持っているのか?
だが、テスラなら!
アローよりテスラの方が攻撃範囲が広い。
テスラが発動する瞬間にジョーカーが躓き前に転んだ。
そのタイミングでジョーカーの後ろでテスラが発動し空振りした。
更に地面から放たれたアローも起きるタイミングが絶妙にマッチして当たらない。
ここに迫って来る。
こうなれば、俺・シャドーランサー・アローの集中攻撃に更にダブルを使用して仕留める!
「門!開け!」
俺は門を開いてジョーカーを最後の部屋におびき寄せた。
最後の部屋にジョーカーが入った瞬間に門を閉めた。
「ダブル!」
ダブルの発動によりテスラが起動するがその少し前にジョーカーが踊り、テスラを回避した。
更に躓きながらカマを投げるとシャドーランサーに直撃して1体やられた。
カマの攻撃力が高い!
ジョーカーのアクシデントが全部プラスに働いている!
テスラも、アローも、シャドーランサーの攻撃も当たらない。
100発くらい攻撃して1回も当たらないのか。
だが、変化が起きた。
急にジョーカーが焦りだしたのだ。
急にアローが当たりだした。
シャドーランサーの攻撃も当たる。
俺はグレートオーガの金棒を振り上げ、思いっきり振り下ろした。
グシャ!
ジョーカーが魔石に変わった。
魔石を食べるが変化が感じられない。
能力値の上昇も感じない。
俺はボスゴブリンを倒して家に帰った。
「何、だったんだ?」
体に変化はない。
今日は、休もう。
食べて、寝て、体重を戻すのだ。
その後、俺の生活に変化があった。
変化をはっきりと自覚したのは、次の日の休日になってからだった。
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