第114話
みんなが砦に入った。
「フトシ、時間は稼げるか?」
「1体だけ先行させて、残り4体を足止めします」
1体なら、時間を稼げれば特級冒険者が倒せる。
1体だけを先行させて残りを足止めした。
矢の道で前にいる1体を素通りさせて早めに門の部屋に移動させ、門のゴーレムを消した。
1体が闘技場に向かった瞬間に門のゴーレムを出して足止めした。
でも、その後どうする?
先行させた1体が迫って来るスピードが早い。
回復が間に合わない。
「まずいぞ! 連戦はきついぜ!」
「武器も傷んでいる!」
「回復カードの回復も間に合わない、5体同時は、勝てる案はある?逃げるしかないんじゃない?」
「でも、アシュラ5体から逃げるのは難しいわ」
「逃げられても街にアシュラを招き入れる事になるぜ!くそ、1体倒せたとしても残り4体は無理だぜ!」
レンならどうする?
こういう時、レンなら迷わず前に出て時間を稼ぐ。
まずは1体、少しでいいんだ。
時間を稼げればいい。
10秒でも、20秒でも時間を稼げればみんなが有利になる。
アシュラに矢はあまり効かない。
剣の斬撃も効きにくい。
でも、金棒なら、相性はいい。
手が震えた。
レンなら前に出る。
死にそうになったら逃げてくればいい、その時は皆に任せればいいんだ。
「確かに、アシュラ5体をどうすれば良いか、策はありません。でも、最低でも何十秒かだけでも時間を稼ぎます」
「フトシ、行くならみんなでだ」
「いえ、1人で行きます。ちょっと時間を稼いで逃げてきます」
俺は皆の話を無視して1人で第四階層・闘技場にワープした。
13体のシャドー
テスラゴーレム
そして俺が先行させたアシュラと対峙した。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
ぞわっと鳥肌が立った。
5メートルは大きい。
包囲して突撃するとアシュラの剣が6本光った。
6つの斬撃がシャドーを攻撃して6体のシャドーが消えた。
シャドーとテスラゴーレムはデコイ程度の役にしかたたない。
更にアシュラの剣がまた光り出す。
俺は死角から迫って切り札を使った。
出し惜しみをする余裕は無い。
全力で行かなければ危険だ。
「レッドオーラ!」
レッドオーラはキンググレートオーガの魔石を飲み込んだ時に進化した。
進化で変わった事は身体能力の上昇が大きくなった、それだけだった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
金棒を振りかぶり、上から思いっきり足に叩きつけた。
ドッコーン!
更に横にスイングして足を攻撃し、左右に連続でスイングする。
攻撃するたびに轟音が轟く。
俺が見ていない間コメントが高速で流れていた。
『はあ!あれなんだ!』
『ハンマのスタンプみたいだ!』
『赤く光ってる! 無理にブーストしているに違いない!』
ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!
『スタンプ並みの攻撃を連続で繰り出してる!』
『左足が壊れた!』
『でも、テスラゴーレムとシャドーがやられたぞ!アシュラが振りかぶった!』
アシュラの剣戟にスイングを合わせるとお互いに弾かれて後ろに下がった。
「おりゃあああああああああああああああああ!伸びろ!金棒!」
ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!
『金棒を伸ばして攻撃しながら距離を詰めてるぞ!』
『意地でも金棒の攻撃範囲から出さない気だ!』
『アシュラの体が欠けてひびが入って行く!』
『まずい!残り4体がこの部屋にくるぞ!』
『早く倒れてくれ!』
アシュラが1体魔石に変わった。
『アシュラを1人で倒したのか!』
『凄すぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!』
『さすが天才フトシ!』
俺は魔石を飲み込む。
『金棒が進化しました』
進化した!
4体が俺に迫って来る。
『赤い光が消えた! 強化が消えたんだ!』
『レッドオーラは多分フトシの切り札だ!』
『もう無理だ! 特級を呼べ! 無理するな!』
4体の内1体が先行して来た。
「レッドオーラ!」
『2回目!あの超強化を2回も使えるのか!』
『またフトシが走って行く! だが、今回はシャドーとテスラゴーレムがいない!』
『フトシ! 無理すんな!』
俺はジャンプして金棒を上に振りかぶった。
「金棒!巨大化!」
ドッゴーーーーーーン!
インパクトの直前に金棒を巨大化させて潰す。
アシュラの全身にひびが入った。
進化して身に着けた力だ。
何度も潰すように叩くとアシュラが魔石に変わり、俺はその魔石を飲み込んだ。
『まずい!アシュラ3体がフトシに迫って来るぞ!』
『3対1はまずい!』
俺は横にスイングした金棒を巨大化させ、アシュラ3体を闘技場の客席に叩き飛ばした。
ズゴーン!
そして一番近いアシュラを巨大化した金棒で潰し割る。
ドロップした魔石を飲み込み次のアシュラに駆ける。
残ったアシュラ2体は立ち上がり全身を光らせ、剣を後ろに振りかぶった。
『まずい!必殺技が来るぞ!』
『突きの突進攻撃だ!』
「ぐるああああああああああああああああああああ!!!!!」
アシュラ2体の突進攻撃と巨大な金棒を振る攻撃が何度もぶつかり合い、押し合うように拮抗する。
『あれと打ち合ってる!』
『凄!』
アシュラのスキルが切れた瞬間に巨大化した金棒でアシュラを叩き潰す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!ドッコーン!
闘技場が半壊し、目の前にはアシュラの魔石が2つあった。
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、倒した、倒せた、のか?」
『勝った!アシュラ5体を、たった一人で倒した!』
『魔石を食べてるぞ、特級の魔石を5つ食った!』
『自分の闘技場を自分で半壊させてる、どんだけの攻撃力なんだ!』
『レッドオーラ&金棒か、今俺、鳥肌が立っている』
『砦が進化可能です』
「……はあ、はあ、はあ、プライベートルームに戻りますね」
俺はプライベートルームに戻った。
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